JR西日本、山陽本線の支線「和田岬線」に乗ってみた
貨物輸送の廃止と旅客輸送の変遷
開業以来続いていた貨物輸送は1980年10月1日(水)のダイヤ改正で廃止。線路は和田岬で途切れることになった。また、旅客輸送は機関車牽引による客車列車として運行されていたが、JR西日本は車両運用の効率化、保守費用などの低減を考慮し、1990年10月1日(月)から気動車に切り替えた。
しかし、気動車は非冷房、なおかつ暖房の効きも悪く、乗客から電化の要望がJR西日本に出された。奇しくも海岸線の開業が2001年7月7日(土・七夕)に決まり、東海道・山陽本線と競合することから、サービス向上の一環として7月1日(日)に直流電化された。和田岬線の利用客にとっては待望の冷房車導入となったのである。
海岸線の開業により、和田岬への鉄道移動が容易になり、利便性が向上する一方、和田岬線は海岸線開業後も大きな変化はない。
2010年に入ると、「和田岬線廃止?」の報道が流れた。当時、神戸市は運河を活かした街づくりを進めており、船の運航や散策ルートを設定する際、和田岬線が障害になるため、JR西日本に廃止を打診したのである。
早ければ2012年度にも廃止される可能性はあったが、2020年3月現在も走り続けている。平日は6両編成の車内が満員になるほどの需要を得ている以上、利用客にとっては「廃止こそが最大の妨げ」となるのである。
なお、和田岬駅近辺にノエビアスタジアム神戸(Jリーグのヴィッセル神戸、トップリーグの神戸製鋼コベルコスティーラーズの本拠地)がある。JR西日本は観客輸送に消極的で、海岸線や神戸市営バスの利用を勧めている。
<取材・文/岸田法眼>