バス通勤で「エチケット袋が手放せない…」若手教員の異動で起きた悲劇
若い教師は早く来いという風潮
「今までの自転車で10分という最高の通勤環境とは異なり、起床時間も2時間早くなりました。教職の現場ではいまだに“若い教師は早く来ないと”という風潮があるので、家を出るのは早朝の6時前です。
しかし、電車だけだとまだよかったのですが、このバス通勤に大きな問題があったんです。慣れない早起きのせいもあったのか、ひどく“バス酔い”をしてしまうんです。
なかでも山間に差し掛かる辺りからがとくにしんどくて……。くねくねと道がうねりだす上に、揺れがひどい。でもバスの運転手は慣れっこなので、早いスピードで山道を走り抜けていくので落ち着く暇もなくて。
水を飲んだり、酔止めを飲んでみたりしましたが、何をしてもダメでした。寝不足の日はもう最悪。一度、吐き気が耐えられずバスを降りた日もありましたが、田舎のバスなので一度降りると次のバスが来るまでの時間も長いです」
道の悪い長時間のバス通勤と相性が…
その日は遅刻して主任に叱られてしまったそうです。「教師が遅刻してどうするんだ」と。
「それからはバスを降りることは我慢するようになりましたが、エチケット袋が手放せません。なるべく寝るようにしているのですが、先日でバスでの嘔吐は4回目になりました。お金がないからこんなことになると思っているので、今では消費者金融で借りてもいいから一刻も早く車を手に入れて、この地獄のバス通勤から抜け出したいんです」
昨今のニュースでは教員の質の低下が叫ばれますが、教員の職場環境における質の向上に注目が集まることはあまり多くありません。同じ県だからとって、転勤は常に多くのストレスが発生するもの。教員の生活改善は、結果的に子供のためになると思うのですが――。
<取材・文/ミクニシオリ イラスト/デザイア恵利>
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