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Osaka Metro御堂筋線、終電延長の実証実験。午前2時運行の是非を占う

ビジネス

終電2時間延長のメリット:その2

② 出先の滞在時間を延ばせる

 現在、御堂筋線新大阪発の終電は、下りが0時02分のなかもず行き、上りも0時02分発の江坂方面千里中央行きである。

 例えば、JR線の京都から、新大阪で御堂筋線のなかもず行き、もしくは江坂方面へ乗り換えるには、東海道本線23時29分発の新快速姫路行き、東海道新幹線23時32分発の〈のぞみ265号〉新大阪行きが“ギリ電”である。

JR西日本新大阪駅

JR西日本新大阪駅の改札に御堂筋線の発車時刻表を設置

 前者は新大阪23時53分着。JR線ホームと御堂筋線ホームのあいだが離れており、徒歩約5分かかる。東海道本線経由の場合、御堂筋線新大阪駅で交通系ICカードのチャージをする時間がなさそうだ。

 また、大阪には23時58分に到着。大阪駅御堂筋口と御堂筋線梅田駅とは隣接しており、なかもず行き終電(梅田0時08分発)の乗り換えが容易だ。

 一方、後者は新大阪23時45分着。所要時間は新快速の約半分というスピードが魅力的で、新幹線特急料金870円(自由席利用)は“深夜料金”の感覚で利用すればいいだろう。これにより、御堂筋線の乗り換えにゆとりが持てる。

 御堂筋線の終電2時間延長により、京都0時14分発、東海道本線の各駅停車大阪行き終電(新大阪0時56分着、大阪1時00分着)に乗っても悠々間に合うのだから、夜遅くまで京都観光などが楽しめそうだ。

終電2時間延長のデメリット

① 乗務員、駅員の睡眠時間減少と労働時間の増加

 終電の2時間延長により、乗務員や駅員のタイムスケジュール、人員確保が重要になる。宿直勤務となるので、睡眠時間が削られないよう、盤石な態勢が求められる。事故が起こらないためにも。

② 騒音

 御堂筋線は地上区間が存在するため、沿線にお住まいの方、お泊まりの方に対する配慮が求められる。車両自体の騒音は省エネ化により低減されているとはいえ、江坂―東三国間、西中島南方―中津間は、鉄橋を渡る際の轟音が避けられず、終電2時間延長を知らない人からのクレームが考えられる。

 このほか、大阪市営地下鉄時代から、列車の到着前と発車時に警笛を鳴らす。終電延長の時間帯は地上区間の吹鳴を見直すなど、「特例」というマニュアルも必要であろう。

③ メンテナンス

 終電の2時間延長により、終電後のメンテナンス作業時間の短縮、大晦日から元日の終夜運転のように省略も考えられる。地下鉄の場合、終電後のトンネル点検でも数百メートルしかできない。

 仮に線路やトンネルなどの点検中に異常が発生した場合、初電からダイヤ乱れが発生する恐れがある。また、終電の2時間延長で使用される車両も1日の走行距離が長くなるので、メンテナンス作業が若干早まることも考えられる。

 予備車が底を尽きてしまうと、列車の運行にも影響を及ぼしかねないので、可能な限り、2日間とも同じ車両を使わないなどの調整も必要になりそうだ。

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