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神奈川県庁のデータが大量流出…個人が請求できる「損害賠償額」は?

コラム

「中古ハードディスク」ってどうなの?

分解したPC

 ところで詳細な手順は後述するが、本当ならば神奈川県庁の内部で、リース品を返却する前に「確実な消去」を行うことも可能だった。

 この事件を受けて、省庁におけるハードディスクの取扱手順も見直されるだろうと思われる。そういう取り組みを求めるのが、いまのところ、市民ができることのすべてであるようだ。

 さて、ここからは“自衛”が可能な部分にかぎって、「ハードディスクからのデータ流出」への備えを考えていきたい。自分自身の秘密を守り、また加害者にならないためにも、ご一読をおすすめする。

 そもそも中古ハードディスクの取引自体、一般のPCユーザーにはあまりおすすめできない。まずは、売るメリットに乏しいこと。ハードディスクは汎用品、かつ価格競争が激しい部品なので、型落ち品を売りに出してもさほどの高値はつかないはずだ。

 逮捕された男性は、これまでに会社からハードディスクなどを盗んで転売していたと見られるが、彼は専門業者に勤務しており、廃棄品が常時大量に持ち込まれるという前提があってのものである。

ハッカーが「悪意のある細工」をしているかも

 中古で買うメリットも乏しい。ハードディスクは、使えば使うほど寿命がすり減る割に、前のユーザーがどれだけ使い込んだかわからない「レモン市場」の商品だ。型落ちの未使用品も安く出回っているので、少しくらいの価格差ならばそちらを選ぶべきである。

 また、中古品にはハッカーによって「悪意のある細工」がされている可能性もある。ごくごく稀なケースとはいえ、絶対にあり得ないとまでは言い切れない。「気にしい」な性格の人は、これを避けたほうがラクだ。

 余談だが、事件発覚に寄与したIT社長の男性も、中古ハードディスクが「細工」されていないか心配し、専用ソフトでハードディスクを精査した結果、未消去の行政文書を発見したようだ。

 そのハードディスクが、彼のような“良心的で知識のある”ユーザーの手元に渡ったのは不幸中の幸いだったといえよう。

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