新人の仕事を倍速にするコツは「分けて教えること」
手本を示すときは「見どころ」を教える
OJTで新人に業務を教える際に、手本を示して教える指導者は非常に多いです。それは、多くの指導者が「業務を新人に習得させるには、まずは手本を示すのが近道だ」と考えているからです。
この手本を示すというOJTアプローチと、レクチャーを通じて教えるというOJTアプローチは大変似ています。それは、一方的に情報を発信しているという点です。
手本を示している間は、伝えたい情報を一方的に発信し続け、新人にそれを一方的に見続けさせています。そして、なぜか多くの指導者は、新人に手本を一度示したら、「もうわかったはず」「理解したはず」と思ってしまいがちです。
しかしながら、いくら新人に手本を示しても、本当に見てほしいところを見ているとは限りません。例えば、OJTで自身の営業先に新人を同行させ、「商談の様子を見せたい」と思ったとき、あなたなら何と言うでしょうか?
指導者はよくこう言います。
「お客様と私のやりとりをしっかりと見ておくんだよ」
見るべきポイントを具体的に指示する
しかし、「お客様とのやりとりをしっかり見ておくんだよ」という表現では、新人は、「ひとまず商談をしっかりと見ていればいいんだな」と、ぼんやりと接客全体をただ眺めているだけになってしまいがちです。そして、こちらが見てほしい肝心なところを見ておらず、いざ新人に一人でやらせてみると実践できなかったりします。
そのような事態を回避するには、「しっかりと見ておくんだよ」ではなく、「お客様のニーズを把握する具体的なセリフをメモにとっておいて」と伝えるなど、見るべきポイントを具体的に指示しなければいけません。それが、業務の習得スピードを早めることにもつながります。
OJTにおいて、何かをやってみせるときは、どこに視点を定めればいいのかをはっきりと示した上で手本を示すのが効果的です。
そして新人がこの方法に慣れてきたら、複数の見どころを伝えるようにしましょう。