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優秀な若手は知っている「10秒で差がつく」新人への教え方  

学び

「すべての説明を求める新人」を時短育成する

ビジネス 疑問

 次に慎重派の「先に十分な説明をしてから、練習させ、実践に移す」タイプの新人について見ていきましょう。

 携帯電話ショップの接客の例で言えば、先に提示したように、「アプローチをする」~「アフターフォローをする」までの一通りの接客プロセスを、詳細部分を含めて十分な説明をし、それからロールプレイングに移るような教え方です。

 ITの発達した時代に育った新人は、何かを始める前にネットで一通りの情報を収集し、理解・納得した上で行動に移すタイプが多くなっています。そのせいか、先に十分なレクチャーを受ける慎重型の育成アプローチを希望する新人がとても多くなっています。

 このようなタイプを早期に一人前に育成するのは、実は非常に難易度が高いのですが、それはなぜでしょうか?

 それは、行動に移すまでの時間が長くかかってしまうからです。新人が必要以上に準備したり、必要以上に考え込むと、行動に移すまでのアイドリング時間が多くなります。すると必然的に、新人が仕事を覚えるまでの時間も長くなります。指導者は、このタイプ特有の慎重さを理解してあげながら、いかに早期に育成するのかが命題となります。

 では、このタイプを時短育成するにはどうしたらよいのでしょうか?

「すべて教えているよ」でも7割しか教えない

 ポイントは「すべて教えているよ」と伝えながら7割の説明でやめておくことです。微細な部分やイレギュラーケースは省略しましょう。

 携帯の接客の例で言えば「こういう変わったお客様が来たときにはね……」とか「クレームになりそうなときはこうするんだよ」などと、イレギュラーなケースまで初期段階で説明してはいけません。

 なぜなら、慎重派の新人の多くは、情報量が多く理解しきれなくなると、「もっとしっかり覚えてからでないと実践に移せません」と、さらに行動を躊躇する場合があるからです。

 全部を教えていたら、行動させるまでにますます時間がかかってしまいます。まずはそれぞれのプロセスで必要なことを丁寧に押さえ「とりあえずこれだけ理解していれば大丈夫」と自信を与え、安心させることが肝要です。

 このタイプの人には、いかにレクチャーや練習段階で「できるかもしれない」という自信や安心感を持たせられるかが勝負です。そのためにも「わからないことがあったら、ちゃんとフォローするからね」と直接伝えて安心させることも忘れずに。

 また、7割のレクチャー部分においても、事前にマニュアルを読み込むよう指示するなど、事前課題を出しておきましょう。疑問点をあきらかにさせて、一度のレクチャーで多くの情報量を確実に吸収できるような準備をさせるのが効果的です。

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■匠の10秒質問
慎重型の新人が行動を躊躇しているとき
「ここが理解できたら大丈夫だから、早速やってみない?」
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<TEXT/島村公俊>

講師ビジョン株式会社代表取締役。人事系コンサルティング会社を経験後、2006年ソフトバンク(旧ボーダフォン)入社。ソフトバンクユニバーシティの立ち上げ参画し、研修の内製化をリードする。独立後は1000人規模の新人研修やエルダー(OJT、メンター)教育にも携わり、新人、若手の早期育成にも貢献する。社内講師の育成トレーニング、OJTトレーナー研修、新人研修などを提供する。近著に『10秒で新人を伸ばす質問術』(東洋経済新報社)

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