優秀な若手は知っている「10秒で差がつく」新人への教え方
「やりながら覚える」新人には全体像を教える
まず、行動派の新人に対するアプローチとして大切なことは、業務の全体像を示し、すぐに実践に入ってもらうことが大切です。
そもそも、業務の全体像を説明するという点について、私がソフトバンク在籍時にソフトバンクショップで勤務していた時の話を例に説明します。
新人の指導にあたる先輩スタッフは、行動派の新人に対して、次のようなフレーズで業務の全体像をまず説明します。
「いいですか、まず、接客には大きなプロセス(流れ)があります。その全体像は次のように5つに分けられます。この目的は、店舗として統一した、より良い接客サービスをお客様に提供するためです。では、ひとつずつ簡単に概要を説明していきますね」
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■接客の流れ(全体像)
アプローチをする→ニーズを把握する→プレゼンテーションをする→クロージングをかける→アフターフォローをする
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先輩スタッフはこのように、まず全体像と概要を簡単に説明したあと、すぐに店頭で接客をするよう促しました。そして実践を通じて「そこはいい」「そこは良くない」とその場ですぐにフィードバックしながら行動派の新人を育てていきました。
最低限のポイントはあらかじめ伝える
この実践タイプの新人を育てる上で、注意しなければならない点があります。それは、この育成パターンを好む新人は、仕事の全体像に意識を向けるのを忘れがちであるということです。そうなると、目の前の業務をこなすのに一生懸命になるあまり、もっと大切なこと、例えば相手の立場にたった行動をとるのを忘れてしまうといったことが起こり得ます。
例えば、とにかく商品の魅力を熱く語り、すぐに契約を迫るなど事を急いでしまう傾向があります。アグレッシブに攻めるのはいいのですが、いったん、落ち着いて接客の全体像に目を向け、まずは、ヒアリングを通じてお客様のニーズを正確に把握させることが肝要です。
ただ仕事を前に進めるだけでなく、相手の立場にたった仕事をさせるためにも、まず仕事の全体像を明確に示しましょう。それと同時に、業務の目的もしっかりと伝え、依頼業務の大枠を押さえてもらうことが重要な指導ポイントになります。
また、深く考えずに行動すると、失敗した際のダメージが大きくなる可能性があると注意喚起をしておきましょう。「とりあえずやってみようか」と実行に移させる前に、「ここだけは注意して」と最低限のポイントはあらかじめ伝えておきましょう。
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■匠の10秒質問
行動重視の新人に業務を依頼するとき
「この業務の全体像と目的を説明してもらえるかな?」
「この業務を進める際に、最も注意すべきことは何かな?」
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