東京メトロが進める「バリアフリー化」の現在地。盲学校生徒から提言も
ホーム下の構造物やレールなどの位置を体感
今度はホームを下り、線路上へ。社員は線路からホームまでの高さ135センチを説明する。ホームから転落してしまうと、戻るのが困難である。
東京メトロの駅の多くは、ホーム下に空間があり、人が入れるスペースを設けている。センター中央駅の場合、配水管を設置した関係で、かろうじて入れた模様。
次にレールと枕木を案内したあと、生徒が触る。2条のレールの幅は「狭軌」と言われる1067ミリ。枕木はコンクリート製で、木製に比べ耐久性に優れている。
センター中央駅の外はバラストが敷かれており、乗り心地の向上、騒音の抑制を図っている。
生徒らはバラストに足を踏み入れると、ジャリジャリとした音が聞こえてくる。デコボコしており、歩きにくいこと、「ホームから転落したら、こんなにツラい思いをするのか」ということを実感したのではないだろうか。
ホームドアと車両を案内してもらう
生徒らはホームへ戻り、社員はホームドアを案内する。
ホームドアは南北線のみ開業時からガラス張りの“フルハイト式”に対し、ほかの路線は“ハーフハイト式”を採用している。ハーフハイト式でも事故防止の実績があることやコストも抑えられるからだ。
センター中央駅1番線のホームドアは、2480ミリ。車両の乗降用ドアは1300ミリ(一部を除く)なので、倍近くの広さを確保している。ホームドアを設置すると、列車の停止位置精度の向上が求められるので、東京メトロでは全線のATO化(Automatic Train Operation device:自動列車運転装置)を進めている。
「では、みなさん、列車に乗車してみてください」
ホームドア、訓練車両の乗降用ドアが相次いで開くと、社員の案内で生徒たちは足元に気をつけながら3号車に乗り込む。生徒たちは吊り手やロングシートに注目している様子だ。
「(車両の乗降用)ドアとホームドアのあいだ、距離感を体得してください」
社員の案内で、車両を降り、乗降用ドアとホームドアの位置を確認し、間隔をつかんでいる様子。駅によって間隔が異なるので、東京メトロでは一部の駅で可動ステップを導入し、間隔が空き過ぎないようにしている。