スコープとは?意味や使い方を解説【いまさら聞けないビジネス用語】

ビジネスシーンにおいて、適切な言葉遣いは重要なスキルのひとつ。基本的なビジネス用語を理解していることは、コミュニケーションの円滑化に直結します。本記事では、いまさら人に聞けないけれど、知っておきたいビジネス用語をわかりやすく解説。それぞれの用語が持つ背景や使用されるシチュエーションを押さえておくことで、職場での会話やメールに自信を持てるようになります。今回は「スコープ」について、意味やビジネスでの使い方を紹介します。
目次
「スコープ」とは「業務やプロジェクトの対象範囲」
スコープ(scope)とは、「範囲」「視野」「領域」といった意味を持つ英語であり、ビジネスの場では主にプロジェクトや業務の対象範囲を明示する言葉として用いられます。
たとえば、あるプロジェクトにおいて「開発のみがスコープに含まれ、運用は対象外」とすることで、担当者の責任範囲や実施すべき作業が明確になります。逆に、スコープが曖昧なまま業務が進行すると、業務の漏れや過剰対応、責任の不明確化などにつながる恐れがあります。
ビジネスシーンにおけるスコープを使った用語
スコープという言葉は、幅広い業界や現場で使われますが、ビジネスシーンでは下記のような用語が使われます。
スコープマネジメント
プロジェクトの目的を達成するために必要な作業範囲を明確に定義し、確実にタスクをクリアできるようにする進行管理方法のことをスコープマネジメントといいます。
ここでの「スコープ」とは、「何を対象とし、何を対象外とするか」という業務・作業範囲を意味し、これらを適切に扱うことで、プロジェクトが本来の目的に沿って進行するように管理できるようになります。また、必要な作業の漏れや重複を防いで効率的に作業を行うためにも有効です。
なお、スコープマネジメントは、プロジェクトマネジメントの国際的な標準規格「PMBOK(ピンボック)」において、プロジェクト成功の鍵を握る重要項目として位置づけられています。
プロダクトスコープ
プロダクトスコープ(成果物スコープ)とは、プロジェクトによって生み出される成果物の内容を明確に定義するものです。具体的には、製品のコンセプト、想定されるユーザー層(ターゲット)、必要とされる機能などがその構成要素に含まれます。
プロダクトスコープを具体的かつ明確に定めることで、プロジェクトが目指す方向性や達成すべきゴールを関係者全体で共有しやすくなり、実行段階での認識のずれを防ぐことが可能となります。
プロジェクトスコープ
プロジェクトスコープ(作業スコープ)とは、プロジェクトの目標やゴールを達成するために必要な作業内容とその範囲を具体化するものです。「いつまでに」「どのような作業を行うのか」を洗い出し、実施すべき業務と対象外となる業務の線引きを明確にすることで、過不足のない作業遂行が可能となります。
また、プロジェクトの関係者(ステークホルダー)とスコープを共有することにより、認識の不一致を防ぐことも可能になります。
スコープの注意点と管理のポイント
スコープを適切に定義し、管理することはプロジェクトの成功に直結しますが、注意したいポイントや管理の際のポイントがあります。
スコープクリープに注意
「スコープクリープ(scope creep)」とは、当初の定義にはなかった要求や作業が徐々に追加されていく現象を指します。これは関係者の期待や要望の変化によって起こることが多く、予算オーバーや納期遅延の要因となるため、適切な管理が求められるでしょう。
スコープの可視化と共有
さまざまな方が関わるプロジェクトでは、スコープを可視化し、都度共有することも忘れてはいけません。スコープの可視化といっても難しいものではなく、その内容や定義を文章にして共有すればいいのです。関係者がいつでも確認できるような体制を整えておくことは、さまざまなビジネスシーンにおいて重要なことです。
スコープの明確化はプロジェクト成功の土台
ビジネスにおける「スコープ」とは、プロジェクトや業務を効率的かつ確実に遂行するための土台を築くために重要な概念です。とくにチームでの連携や外部との契約においては、「何を行い、何を行わないか」を明示することで、認識の統一とリスク管理が可能になります。
プロジェクトの初期段階でスコープをしっかりと定義し、その後も継続的に管理していくことで、業務の進行が格段にスムーズになります。業務設計やプロジェクト推進では、ぜひスコープという視点を活用してみてはいかがでしょうか。