海賊サイト「漫画村」の運営者を特定との報道が。いったい何億円の損害賠償が必要か
「最新の漫画が無料で読める」として、大きな社会問題になった違法アップロードサイト「漫画村」。
政府がインターネットサイト接続業者に対して、アクセスできないようにブロッキングを要請するという異例の措置が取られるなど大きな社会問題になりましたが、現在まで犯人の特定には至っていませんでした。
しかし、「BuzzFeed News」が日本の弁護士が米国の訴訟手続きを通じて、漫画村の運営者とみられる人物を特定したと報じたことで、また議論が再燃しています(参照:「BuzzFeed News 2018年10月10日」)。
口コミで広がり社会問題になった「漫画村」
「漫画村」が開設されたのは2016年頃だと言われており、開設1年後には、口コミを通じて利用者の数が急増しました。2018年初頭には、日本有数のアクセス数を誇るサイトになり、その違法性が問題視されるようになりました。
2018年2月には「公益社団法人 日本漫画家協会」と「一般社団法人 マンガジャパン」が当サイトを利用しないように求める声明を発表し、大手メディアも取り上げるようになります。
4月13日、日本政府が発表した「インターネット上の海賊版サイトに対する緊急対策(案)」では漫画村を含む海賊サイト3件を名指しし、緊急的な措置としてインターネットサイト接続業者に対して、これらのサイトに接続できないようブロッキングを要請する異例の措置が取られました。
同月17日に「漫画村」が突如閉鎖され、姿を消しました。その後、そっくりのサイト「漫画塔」がオープンするも即閉鎖するなど、多くの問題をはらみながらも現在まで全容の解明には至っていませんでした。
しかし、今月10日、運営者とみられる人物を、日本の弁護士が特定したことで事態に大きな進展がありました。今後は刑事告訴や損害賠償請求を求める民事訴訟をする予定なので、近日中に動きがあるかもしれません。
漫画村だけで被害額は3000億円!?
知的財産戦略本部・犯罪対策閣僚会議の「インターネット上の海賊版サイトに対する緊急対策(案)」では、その被害額は漫画村だけで約3000億円と推計しています。
この推計額は、一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構(CODA)が官邸に報告したもので、漫画村のサイトにアクセスした訪問者が約1億6000万人(96%が日本からのアクセス)として流通額ベースの試算でおこなったものです。また、漫画村と同時にブロッキングが要請された動画サイト「Anitube」は約880億円、同じく「MioMio」は約250億円と推計しています。
しかし、この推計額は計算方法が実態に則していないという指摘もあり、正確な被害額は不明。ですが、大きな被害を出版業界に対して与えたことは間違いないでしょう(参照:日経xTECH「海賊版サイトブロッキング、被害額の推定根拠に疑義あり」)。