5年目で年収3000万円も。「超高給取り」になったM&A業界が欲しがる人材とは
一般に、新卒入社時から年収が高い印象のあるM&Aコンサルタント職。M&A業界は、他業界と比べて初任給や年収が高いといわれるが、近年ではどのような傾向があるのだろうか。
M&A業界をはじめとしたエグゼクティブの転職支援を行う、転職コンサルタントのタイグロン・パートナーズのマネージングディレクター 野尻剛二郎氏に業界全体について教えてもらおう。
社会人5年目で年収3000万円台にも
主に事業継承関連のM&A仲介を行っている企業について、野尻氏は「年収の平均値は上昇しています」と語る。
「基本給自体は従来のまま低めに抑えて、出来高部分の料率を上げている傾向がみられますね。国内の大型案件や海外案件のM&Aアドバイザリーを提供している投資銀行では、若手人材流出対策のために、基本給を大幅に上げました。
特に外資系投資銀行でその傾向が顕著で、2020年新卒時では950万円程度でしたが、2022年4月入社時には1200万円まで上昇しています。ボーナスを含めると、社会人2年目から3年目で年収は約1500万円から1800万円の水準になっています。役職や年次がひとつ上がるだけでも年収が500万円ほど上昇するため、社会人5~6年目にして年収3000万円台が平均的な水準となっています」
厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、20~24歳の賃金の平均は大学卒で約229万円、大学院卒で約245万円になるので、社会人デビューとしては、十分すぎる待遇と言えるだろう。
成果に応じたインセンティブも
中堅中小企業を対象としたM&Aを仲介する株式会社日本M&Aセンターで人材育成を担う人材戦略部で部長を務める中村健太氏にも話を聞いた。中村氏よれば、「エントリー数はここ数年、毎年倍増しているような状況」だという。
「M&Aコンサルタント職の年収の額は、優秀な方に入社いただくことを目的に設定しています。そもそもM&Aコンサルタントは、業界全体で平均年収が高いといわれていますが、その背景には、成果に応じたインセンティブがあります。
しかし、当社は社員に長く働いてほしい、中長期的にビジネスパーソンとしてのキャリアを築いてほしいと考えているため、インセンティブのみではなく、一定水準の固定給を確保しています。また、社員が自社株を積立購入できる持株会制度なども用意しています」