夢を語れない日本の若者が知るべき「現実の厳しさ」と可能性。異色の応援団が伝授
学ランに鉢巻き姿。大声を張り上げ、思い切り腕をふりながら全力でエールを送る。そんな昔ながらの応援団のスタイルが再び注目されている。その“旗振り役”とも言われるのが宮城県仙台市に拠点を置く「青空応援団」。2013年に結成された、社会人のみ約80人の応援団だ。
東北を中心にスポーツイベントだけでなく、“頑張る”個人や団体に向けて、エールを送り続けている。その活動にメディアが注目し、ドキュメンタリー番組やテレビCMにも出演しており。青空応援団の平了(たいら・りょう)団長は、2021年9月に初の著書『青空応援団 ~僕らはいつだって応援している~』を刊行した。
4月からの進学や上京などの新生活がはじまり不安な人も多いだろう。今回はそんな同書から「みんなの前で夢を語ってもらう青空応援団スタイル」について紹介したい(以下、同書より一部編集の上抜粋)。
みんなの前で夢を語ってもらう
青空応援団は老若男女を問わず各世代に向けてエールを送る。学校の行事や成人式など若い人たちのイベントでは、応援とセットで講演やコメントを依頼されることも通例になっている。そういうとき、僕は夢を追いかけることがいかに大切か、という話をさせていただくことが多い。
子どもたちが堂々と自分の夢を語れる社会、夢を語っても笑われない社会をつくるために僕らが活動していることもきちんと説明する。そして最後に「この中に自分の夢を応援してほしいという人がいたら手を挙げてください」と呼びかけることをオキマリとしている。
日本の若者たちにとって、大勢の前で自分の夢を語ることは容易なことじゃない。特に10代の子どもたちにとっては、相当ハードルが高い。笑われちゃうからね。したがってどこの会場でも、なかなか手が挙がらない。
手が挙がるまで20分以上待つことも
学校では個性を大切にしよう、自由に生きようと教えているが、実際には若者が自分の夢も自由に語れないほど閉塞しているのが今の社会の実態だと感じる。手を挙げてくれと言って、即座に手が挙がることは、まずない。
そういう場合、諦めて次の話題に移るのが大人の対応かもしれないが、僕は「誰もいませんか」と問いかけ続ける。手が挙がるのをいつまでも待つ。
自分の人生の扉を自分の手で開けるには、葛藤を乗り越えて名乗り出る勇気と決断力が必要なんだ。そこで手を挙げるか挙げないかで、人生が大きく変わると言っていいと思う。それほど大事なことだから10分や20分待つことなんて苦じゃない。
講演者も聴衆も、ほとんどの人はあの間が苦痛みたいだけど、僕はまったく苦にならない。だって自分の夢を応援してほしい人は絶対にいるから。誰だって自分の夢を応援してほしいに違いないんだから。きっとそれぞれが心の中で葛藤しているんだよ。