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大阪王将は「繁華街から、家の最寄り駅」へ。テイクアウト強化の新戦略を聞く

ビジネス

 度重なる緊急事態宣言の発令・延長に加え、酒類の提供禁止など、飲食業界は出口の見えないトンネルに迷い込んでしまったかの感がある。

 しかし飲食店側も手をこまねいているわけではない。とくに大手飲食チェーンは、それぞれが独自に戦略を見直し、新たな取り組みでこの危機的な状況を乗り越えようとしている。むしろ好転のきっかけにしようとさえしているチェーンもあるのだ。株式会社大阪王将・代表取締役社長の植月剛氏に話を聞いた。

大阪王将

「元祖焼餃子」は言わずと知れた大阪王将の看板メニュー(1皿6個・265円)

“帰着駅”に着目した新たな出店戦略

 餃子でおなじみの「大阪王将」は、ランチなどのいわゆる“日常食”をメインに展開している。その点ではディナータイムをメインとする居酒屋などとは少し事情が異なるようだ。

「私たちはもともとテイクアウトの機能を備えていた業態です。イートイン需要が落ちた分、多少はカバーできています」(植月氏、以下同じ)

 コロナ禍により、大きな変化があったわけではないが、それでも2021年4月の売上はコロナ禍以前(2019年)の同月比80%ほどにまで落ち込んでいるという。

「インバウンド需要が見込めなくなり、繁華街などの直営店の中には前年比は10%まで落ち込んだところもあります」

出店戦略を大きく見直すことに

 そこで大阪王将では出店戦略を大きく見直し、現在“帰着駅戦略”を進めているそうだ。自宅の最寄り駅周辺に飲食店が少ない場合、乗り換えなどに利用するターミナル駅近くで夕食を済ませて帰りの電車に乗る人は多い。しかし植月氏によると「在宅ワークの定着でターミナル駅を利用する機会が減り、自宅周辺で消費する機会が増えています」とのことだ。

 そのため大阪王将では、1日の乗降客数が10万~20万人のターミナル駅周辺への出店はやめて、2万~3万人ほどの、郊外の駅(=帰着駅)の周辺に出店する方向にシフトしているというのだ。

植月剛氏

株式会社大阪王将・代表取締役社長の植月剛氏

「従来のような大きなイートインスペースは必要ありません。店舗を小型化し、テイクアウトコーナーをわかりやすくして、お客さまに手軽にお持ち帰りしていただけるような店舗づくりを進めています

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