苦境のラーメン店で「800食も注文殺到」元ヤン芸人が始めた“独自宅配サービス”
1月22日現在で、11都府県に発出されている緊急事態宣言。飲食店は夜8時での時短営業が求められ、倒産や従業員解雇に追い込まれているところも多い。
そんななか独自の試作を始めたのが和歌山中華そばの「津多屋」(東京都新宿区)。手売りの宅配サービスを開始したところ、店主の津多徹郎さん(34歳)は「目標1か月100食が、10日で8倍以上の注文があった」と語る。成功の秘訣と、開始の経緯について聞いた。
経験したことないナンバーワン不況
津多屋は2019年、大泉学園駅(練馬区)にオープン。コロナ禍の2020年10月に新宿区北新宿に再オープンした。平常時はランチ11~15時、夜は17~24時で営業。しかし、緊急事態宣言以降は11~20時の時短営業に。
「今は経験したことないナンバーワンの不況です。津多屋は近くに淀橋市場が開業しているので卸業者さんがまだ来てくれますが、お客さんは通常時の半分以下になりました。去年の10月頃は、まだお客さんで賑わっていましたが、今年は感染者数が1000人を超えたあたりから、ぱったり来なくなりました」
実は津多さんは26歳のときに飲食店経営を始め、これまで10店舗を経営。飲食店コンサルタント・フードアドバイザーとしては15店舗の立ち上げなどに携わってきた。そんな飲食のプロにとっても、今は未曾有の事態だという。
きっかけは仕入れ業者を助けるため
そんな津多さんが始めたのが、フードデリバリーサービス「Uber Eats」をもじったラーメン配達サービス「ツーダーイーツ」。きっかけは東京都が発表した休業要請協力金だ。
東京都では緊急事態宣言発令と同時に、時短要請に応じた飲食店に対し、1店舗あたり1日6万円の協力金を支給すると発表している。また、支給対象も、当初は「資本金5,000万円以下または従業員数50人以下」の中小事業者や個人事業主だったが、現在は外食チェーンなどの大企業にも拡大。
「協力金の金額が決まった時点でまず疑問だったのが、僕らにお肉やら野菜やらを配送してくれる仕入れ業者さんはどうなるのか。仕入れ業者あっての飲食店。一時金として最大40万円はありますが、焼け石に水。飲食店に1日6万円の補償と比べると全然足りないと思います」