テレワークで消滅危機も…「はんこ屋さん21」が独自経営で好調なワケ
街中には「どうしてあのお店は成り立っているんだろう?」とか「なぜあのお店だけ変な内装なんだろう?」といったビジネスに関する疑問があちこちにころがっている。たとえば渋谷の天津甘栗屋はなぜ超一等地に出店できるんだろう? という具合である。こうした不思議の数々を気になってネットで調べたことがあるという方も多いだろう。
しかし、世にあふれる「気になる経営」の解説はほとんどすべてが不十分だ。本当に気になる経営の疑問を解決するには「なぜあの会社は~なのか? 式の疑問を考え続けている「経営学」の力を借りる必要がある。そう、気になる経営は経営学を学ぶ絶好の事例なのである。題して「“気になる経営”学」である。
大きな駅には必ずある「はんこ屋さん21」
銀行や役所で印鑑が必要となり判子販売店を探し回る……。印鑑文化・はんこ文化が根強く残る日本において、誰もが一度は経験したことがあるだろう。そして、真っ赤な看板のお店を見つけてほっと一息するという経験もまた一般的である。そう、「はんこ屋さん21」だ(※なお、ハンコ卸売センターなども赤い看板である)。
はんこ屋さん21は考えてみれば非常に不思議なお店である。判子販売という日本中どこでも成り立つビジネスに思えるのに、チェーン店は「はんこ屋さん21」ばかり。地域密着の判子販売店か「はんこ屋さん21」かという状況だ。
たとえば、乗降者数全国1位の新宿駅周辺に対してGoogle Mapで「新宿駅 判子」と検索すると、2020年6月時点で、判子販売店5店舗中はんこ屋さん21が3店舗を占めていることがわかる。
乗降者数5位以内の池袋・東京・横浜・品川についてみてみると、Google Mapで表示される56店舗中19店舗(約34%)がはんこ屋さん21だ。もちろん、Google Mapには駅から遠く離れたお店が掲載されたり、反対に駅近のお店が認識されていなかったりもする。そのためこれはあくまで参考情報である。