西武秩父線、開通50周年セレモニー。特急車両引継式にも行ってみた
西武鉄道(以下、西武)の西武秩父線(吾野―西武秩父間19.0キロ)は、1967年7月から建設工事に着手し、わずか2年で完成。
1969年10月14日(火曜日・鉄道記念日〔現・鉄道の日〕)に開業し、都内から秩父方面への所要時間が大幅に短縮された。池袋から秩父方面へのメインルートになったほか、「西武イコール秩父」という確固たるブランドを築いた。
50年後の2019年10月14日(月曜日)、西武秩父駅の駅前及び構内で、2つの式典が執り行なわれた。奇しくも、祝日の「体育の日」、記念日の「鉄道の日」が重なる1日となった。
西武秩父線101系リターンズ
10月12日から13日にかけて、台風19号が東日本を襲い、甚大な被害をもたらした。西武は10月13日に線路点検をしたところ、西武秩父線で倒木が確認され、14時頃に運転を再開したという。台風19号の影響で、10月12~14日に予定していた西武秩父線101系記念運行は、10月14日のみ実施となった。
101系は「ASカー」(All Round Service Carの略)と名づけられ、山岳走行に対応した車両であるほか、「西武=黄色い電車」のイメージを確立した“歴史的かつ革命的な車両”といってよい。西武秩父線開業時は一般列車の主力車両として、力強く正丸峠を登っていった。現在、101系は多摩湖線、多摩川線で活躍するほか、中小私鉄に譲渡された車両もある。
今回の記念運行は、飯能―西武秩父間の各駅停車2往復で、沿線のいたるところにレールファンが集まり、101系を待っていた。西武秩父駅でも同様で、3番ホームに“黄色い電車”が到着すると、レールファンらは“「黄色い歓声」という名のシャッター音”を響かせていた。
西武秩父線開通50周年セレモニー
10時から西武秩父線開通50周年セレモニーが西武秩父駅前「祭の湯駐車場」で執り行なわれ、「賑やかし演舞」として、秩父音頭の披露、タレントのななめ45°と市川美織さんのトークショーなどが進み、12時40分頃、いよいよセレモニー。
ここでは西武鉄道の若林久社長の主催者あいさつ、沿線の首長3氏、秩父鉄道の大谷隆男社長による来賓祝辞を行なう。
○西武鉄道 若林久社長
「本日、10月14日をもちまして、地域の皆様とともに、歩んでまいりました西武秩父線は、開通から50周年という、記念すべき、節目の時を迎えることができました。
(中略)西武鉄道では、コーポレートメッセージ、『あれも、これも、かなう。西武鉄道』を具現すべく、引き続き、微力ではございますが、地域の発展、地域の活性化に全力を尽くしてまいりますので、何卒、皆様の変わらぬ御愛顧賜りますよう、よろしくお願い申し上げます」
○秩父市 久喜邦康市長
「私が中学生の頃、(西武秩父線の)開通式典があったんですね。そこで、吾野まで、電車で、無料で御案内いただいて。子供の頃、よく覚えていますね。“あっ、これで池袋までまっすぐ行ける”というふうな、そのような想いをですね。
たくさんの方々の想い、今もそれを共有している方が多いと思います。この西武線がなければ、“秩父の発展はない”というふうに断言できますし、そして、秩父鉄道さんとの連携等とも本当に密なのも大きく、“秩父発展の原動力になっている”というふうに思います。
個人的なことで大変恐縮なんですが、私の祖父が市長のときに、この開通、2代あとの私がまたこの場に立ち会える。大変御縁を感じて、そしてまた、ありがたさも感じております」
○秩父郡横瀬町 富田能成(よしなり)町長
「私たち、横瀬村(当時)の子供たちにとって、大きな楽しみがありました。ひとつは秩父市に行くこと。そして、東京に行くこと。これは1年に1回あるかないかのスペシャルイベント。それは池袋に行くことです。
横瀬村の子供たちは、池袋のことをすなわち、“東京”と言って、東京だと思っていました。東京に行くってことは、たぶん西武デパートの外にはあまり出たことがない。それが私たち横瀬村の子供たちでした」
○飯能市 大久保勝市長
「声は大きく、態度は小さい飯能市長の大久保でございます。(中略)鉄道の線を利用して、地域が活躍することは、この時代に不可欠でございます。ぜひ、みなさんにも、“今後、用がなくても西武鉄道さん、秩父鉄道さんに乗っていただきたい”というふうに思います。
そして今、飯能市では『metsa(メッツァ)』、ムーミンで大変にぎわっております。(中略)夕べ、ムーミンからわたくしに電話がありました。ホントなんです。“秩父地域の方が、『metsa』ムーミンになかなか来てくれないよ”と。“西武鉄道、秩父鉄道を利用して来てください”というムーミンからのお願いでございます。
(中略)わたくしは『metsa』ムーミンの入場料金を(西武秩父線開業)50周年にからめまして、特別に通常料金を平常料金(ようは割引なし)でみなさんに御提供することを声高々に申し上げ、あらためまして、この地域、西武鉄道さん、秩父鉄道さんの御繁栄を心より申し上げまして、みなさんへの感謝、これからの大きな御期待へのごあいさつとさせていただきます」