セブン-イレブンが一歩先行く「コンビニアプリ戦争」利用者の心理は?
クーポンやポイント、キャンペーンなど、おトク満載のコンビニの無料アプリ。みなさんも使っていますか?
業界内だけでなく、「まいばすけっと」や成城石井が出店攻勢をかける小型食品スーパー、医薬品で利潤を確保するため価格競争力が高いドラッグストア、そしてもちろんAmazonなどのECといった新たな競合との闘いが激化するなか、各社とも顧客囲い込みを目指し、スマホアプリを通じたマーケティングに取り組んでいます。
1500万人に迫る、セブン-イレブンアプリ利用者
株式会社ヴァリューズによる国内スマホユーザー行動ログからは、セブン-イレブンアプリの独走ぶりが明らかになりました。2018年6月のリニューアルを機に、200万人程度だったユーザーが一気に4倍以上の827万人に到達。10月には1000万人を超え、今年4月時点では人口の11%強にあたる1450万ユーザーが利用しています。
2018年2月から現行版に移行したローソンアプリも右肩上がりの成長で、1000万人の大台を伺う勢い。6月にセブン、ローソン2社に抜き去られ、以後水を開けられた状態のファミリーマートアプリですが、それでも548万ユーザーが利用しています。
前回の記事で決済アプリの勢いに触れましたが、最多のPayPayでもユーザーは2019年3月時点で659万人。セブンイレブンアプリはその2.2倍以上のユーザーに使われている計算です。
セブン&アイグループを挙げたCRMのキモは「7iD」
ユーザーはご存じの通り、セブン-イレブンアプリをインストールすると、まず「7iDでのログイン」または「新規登録」を求められますね。この顧客一人ひとりのIDが、セブン&アイグループをあげたデジタル戦略のキモ。イトーヨーカドーアプリも同時にリニューアルし、同じ7iDが付与されました。ほかに西武そごう、ロフト、グループ総合EC・オムニ7といったグループ全体の共通IDで、nanacoとも連携します。
ユーザーにとってはどの店で買っても「セブンマイルプレミアム」ポイントが貯まり、セブン&アイにとっては顧客一人ひとりの属性や行動分析に基づく提案が行えるしくみで、「CRM(Customer Relationship Management)」と呼ばれます。
リニューアル前のアプリもクーポンやキャンペーンといった来店促進のしくみはありましたが、マーケティング施策は「アプリユーザー」という大きな塊に対する画一的なキャンペーンに限定され、効果測定も困難でした。
7iDにより、匿名来店者のPOS(Point of Sales)データが、「2019年5月20日(月)午前7:28に大手町○○店で『コクと旨みのカレーパン』と『アイスコーヒー R』をnanacoで購入」した「神奈川県川崎市在住、2歳の子どもがいる28歳男性会社員Aさん」といった購買や属性を伴う特定個人のデータにバージョンアップ。
Aさんのニーズに合わせたアプローチで関係を深め、明日のリピート来店とアップセル(購入金額アップ)、さらに地元グループ店やECサイトオムニ7などでのクロスセル(関連商品の購入)が期待できるわけです。リアルデータの活用により、仕入れやオペレーション効率も向上することが期待できます。