内勤でもスーツは強制?新卒デザイナーが“紙の”反省文を書かされた事情
新年度も2か月近くが過ぎ、新入社員のみなさんも、そろそろ職場や仕事には慣れてきた頃だと思います。最初はリクルートスーツ姿で出社していた新入社員も、配属先が決定し、少しづつコーデを崩し始めてきます。
「スーツを着たくないから」という理由から、昨今は、客先に出向いたり、話したりする営業職を拒否する人もいるらしく、「ビジネスファッションも自由であるべきだ」という意見をよく耳にします。
しかし、服装に関してはまだまだ「会社次第」な部分もあり、いくら「カジュアル服で」と若手が主張しても、うまくいかないケースも多々。今回は、そんなビジネスファッションで、問題を起こしてしまったサラリーマンの話です。
カジュアルでおしゃれなデザイナーに憧れて
芸術学部卒で、生粋のカルチャー男子という小野優馬さん(仮名・23歳)は在学中、WEBデザインを学び、就活もデザイナーに業種を絞って志望していたそう。
「服が好きだったので、なんとなくスーツを着なくて済む職場に憧れていました。大手広告代理店や大手マスコミは、履歴書で足切りされる大学だったので、ベンチャー企業と中小制作会社などを中心に就活しました。なかには、かっこいいCEOとの面接もありましたが、大手企業に務める父親からは『新卒からベンチャーなんて』と心配されました」
小野さんは、自分の興味とは裏腹に、制作やデザイン会社の中でも社歴の長い企業を優先的に受けていき、最終的に入社したのは社歴50年のデザイン制作会社でした。
「説明会で面白そうな案件をたくさん紹介していた企業だったので、電話があった時には嬉かったです。会社の規模自体はそこまで大きくありませんが、しっかりと業界内で実績を重ねてきた会社なので、父親も『そこなら大丈夫だろう』と安心していました」
小野さんのように就活時、親世代の影響で、なんとなく自分の志望先を「硬め」「古め」な企業に変えてしまう話はよく聞きます。しかし、常に新しいことを創造する仕事で、古めな会社を選んで、本当に大丈夫なのでしょうか?
入社前は気づけなかった社風の落とし穴
問題は入社してすぐに起きてしまったそうです。
「最初の1か月はスーツで通うかもしれないと思い、リクルートスーツをクリーニングに出しませんでした。配属は、とある大手企業の専属デザイナーチームに決定し、どんなデザインを作っていけるのか楽しみでした。しかし翌日、配属先のデスクに座ってみると……部署で一番歳の近い先輩は34歳、その他のメンバーは40代以降という“高齢化”が著しい部署でした」
そして、さらに驚いたのが、みな毎日スーツを着てくることだそうです。
「足元はスニーカーの人もいましたが、基本的にはスラックスにシャツで、僕は1か月しかスーツを着る用意をしていなかったので、早速、“スーツ不足”になりました(笑)。
ある日、クリーニングがどうしても間に合わず、手持ちのシンプルなTシャツにタックパンツで出社したところ、部長が目を丸くして『スーツはどうした?』と聞いてきました。僕が事情を話すと、『新卒ならスーツを用意して当然だ』と叱咤されました」