「年収は住むところで決まる」理論って本当? 所得格差の“なぜ”
『年収は「住むところ」で決まる』理論で行くなら、現在足立区在住のサラリーマンは港区に引っ越せば、年収が上がるはず。本当にそうなのでしょうか?
残念ながら、そうはなりません。東京は各種交通網が発展しているので、たいていのエリアであれば深夜12時まで、積極的に働いたり社交活動に勤しんでも自宅に帰ることができます。アメリカの都市間はとても広く、イノベーティブ人材同士の“頻繁な社交”には都市を跨ぐことはできませんが、東京23区は都市間ほど広くありません。
例を挙げて恐縮ですが、港区の六本木ヒルズまで足立区の北千住駅と同じ港区台場のタワーマンションは、どちらもだいたい45分と、同じくらいの時間です。高年収エリアかそうでないかは、単に交通利便性、時間だけの近さでは決まらないのです。
東京都内では「住む場所で年収が決まる」のではなく…
本書の貴重な示唆は、東京都内の住む場所で年収が決まるのではなく、地方と東京を比べるとイノベーティブなチャンスがある東京に移住したほうがより高い年収を得られるチャンスがあることです。もっといえば、国と言語をまたいで国際的なイノベーティブ都市に移住すれば、さらにチャンスが広がります(当たり前の結論かもしれませんが…)。
また、自分自身がイノベーティブ人材である必要は必ずしもありません。
本書には、ニューヨークのブルックリン地区に増殖しつづけるピクルス屋や、サンフランシスコの手作りTシャツ屋の事例が出てきました。イノベーティブで高収入な人たちが住む場所から徒歩圏で、ユニークな体験や特別な手作りサービスを提供する側に周ることでより、40ドルもする割高なTシャツを売って自身の年収を高めることができるのです。