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「疲れが取れない」のは睡眠時間のせいじゃないかもしれない

コラム

何が私たちを疲れさせるのか?

 自己啓発の古典「道は開ける(著:デール・カーネギー)」には、このような一節があります。

“どんな種類の情緒的要素が座業労働者を疲れさせるのであろうか?喜び?満足?決してそうではない。退屈、恨み、正当に評価されていないという気持ち、無力感、焦燥、不安、悩み―これらの情緒的要素が座業労働者を疲れさせ、かぜの原因となり、生産を低下させ、神経性の頭痛とともに家に送り返す結果になるのである。私たちは、自分の感情が身体の中で生み出した精神的緊張のために疲弊するのだ”

 肉体労働で疲れるのは当たり前なのですが、座業労働(デスクワーク)では、人間は疲労しないものらしいのです。それでもぼくらが終業時に疲れ切り、土曜日はお昼過ぎまで寝ないと疲れが取れた気がしないのは、「情緒的要素」が大きくかかわっているとのこと。

退屈:こんな仕事やっててもつまらないな、早く終わらないかな
恨み:やっかいな仕事ばっかり押し付けやがって…
評価に対する不満:自分はこんなにがんばってるのに昇進も昇給もしない

 これらの情緒的要素がぼくたちの身体や精神を知らず知らずのうちに削り取っていき、抱えきれないほどの「疲れ」となっているようなのです。

 もちろん、飲食業や建設業などで働いている人はリアルな身体的な疲れがあるかもしれませんが、営業や企画、経理やプロジェクトマネジメントのような仕事に携わっている人たちは、パソコンをカタカタしたり会議をしたりすることが大半です。一日が終わったときに、他に何をする気もできないほどぐたーっとなるのは確かにおかしい。

 ぼく自身も、一番心身にダメージを受けていたときの労働時間は、そこまで長くなかったんです。毎日20時とか21時ぐらいには帰路についていたと記憶しています。ただ、そのプロジェクトの中で、「自分は何もできない」「ここでダメだったらコンサルタントとしてやっていけないかもしれない」という無力感や焦りが常に付きまとい、終業後はへとへとでしたし、土日はとにかく寝て過ごしていました。「いくら寝ても疲れが取れない」という悩みをお持ちの方は、当時のぼくのように無力感や不安や焦燥に駆られてしまい、ダメージを蓄積してしまっているのではないでしょうか。

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