「父親が借金で蒸発」バブル全盛期の狂乱を描く漫画。作者が歩んだ“驚きの半生”<漫画>
藤子不二雄のマネをして描いていたことも
──求人雑誌にそんな仕事が掲載されていたんですか?
近藤:珍しいですよね。小学校時代にある友達と藤子不二雄のマネをして漫画を描いていたこともあったので、興味はありました。それに、美術だけはずっと得意ということもあって、とにかく受けてみようと。給料はそこそこよかったし。
──そこに、受かったのですか?
近藤:懐の深い先生だったんですよ。当時のぼくは、金髪のパンク少年っぽい感じで、しかも、仕事も転々としていると。普通だったら採用されないと思うんですけど、「お前、なんか面白いな。あしたからおいでよ」って(笑)。しかも、住み込みですからね。
アシスタントの現場は楽しかった
──恐ろしく展開が早いですね(笑)。画力のほうも評価をされて?
近藤:一応、面接では、小学校の校舎の絵を鉛筆で描いて見せたんですけど、今思えば、ぜんぜん下手だったと思いますよ。でも、人柄で選ぶような人だったんで、そこにうまくハマったような気がします。
──そこで、漫画の基礎を学ぶ生活がスタートするのですね。
近藤:イチからお給料をいただきながら、先生や先輩のアシスタントの方々に漫画を教わるような毎日でした。住み込みだったんで仲が良くなるのも早かったですし。しかも、先生は実践主義というか、「まず、やってみろ」みたいな感じで。ついさっきまで、カケアミといって紙が真っ黒になるまで線を引く練習をしていたぼくに、いきなり学校の絵を描かせて掲載してくれましたからね(笑)。
──かなり、楽しみながらアシスタント時代を過ごされたと。
近藤:本当に楽しかったですよ。みんなでいっしょに仕事をして、夜はいろんな話をしながらお酒を飲んで。学校みたいな感じだったかな。かなり、大物の漫画家さんも輩出してますしね。