パソナは「過去最高の売上高」…飽和市場で成長を続ける人材派遣大手3社
未経験者育成から派遣モデルに
海外でも積極的にM&Aを行ってきたため、海外関連事業が主事業となっています。2018/12~2021/12期までの業績は次の通りです。
【アウトソーシング(2018/12期~2021/12期)】
売上高:3113億円→3612億円→3651億円→5693億円
営業利益:146億円→155億円→133億円→242億円
最終利益:74.8億円→82.3億円→19.1億円→8.3億円
売上高(国内技術):724億円→914億円→1,038億円→1,238億円
売上高(海外技術):366億円→439億円→395億円→1,398億円
売上高(海外製造/サービス):1216億円→1342億円→1338億円→1768億円
2019/12期は米中貿易摩擦などマイナス要因があったものの、同社特有のビジネスモデルで成長しました。国内技術系アウトソーシング事業はKENスクールで育成したIT・PC人材を派遣する「教育→派遣」モデルが成功。外国人技能実習生制度の活用もあり、売上高が26%増えました。
海外関連も海外技術系事業がIT人材の需要増加で伸びたほか、海外製造系及びサービス系事業も人手不足国での派遣需要拡大で増収となりました。これら増収に伴い、全社利益も前年比で増えています。
今後も国内外でM&Aを展開
翌2020/12期はコロナ禍の影響を受けたようです。国内技術系アウトソーシング事業は引き続きKENスクールを活用したモデルが成功したものの、国内製造業の停滞で国内製造系アウトソーシング事業が減収減益となり、ロックダウンの影響で海外事業も横ばいか減収に落ち着きました。
とはいえ、全社売上高は横ばいとなっており、営業利益も著しく減少していません。なお最終利益の大幅減少は子会社好調に伴うプットオプション負債(一定額で売らなければいけない義務)の費用計上によるものです。
2021/12期は企業規模が大幅に拡大しました。特に海外技術系事業におけるアイルランド最大の人材派遣・紹介会社CPL社のグループ入りに起因しています。そして国内事業に関してはコロナ禍からの回復でITおよび製造業分野での需要が伸びたほか、海外製造系及びサービス系事業もヨーロッパでのEC関連事業・自治体向けBPO関連事業が好調で増収となりました。
近年の業績を見ると、コロナ禍で一旦成長が止まっているものの、国内における技術系派遣事業及び海外事業の好調で業績が拡大していることが分かります。同社は“KENスクールモデル”を継続するほか、国内外でM&Aを展開するとしており、今後も成長を見込んでいます。