バブル以来の高騰で家は買いづらくなる?首都圏の地価は「三極化していく」
駅近人気は変わらず。一方で…
駅に近い場所ほどスーパーや銀行など、生活に必要な施設がたくさんあります。そのため利便性の観点から、駅近が人気であることに変わりはないものの、「最近では最寄駅から歩く場所にある物件にも成約がある」と長嶋さんは言います。
「マンションの売れる目安はかつて広告表示で徒歩7分でしたが、今は徒歩10分でも受け入れられるようになっています」
広告表示での徒歩1分は80m相当と定められているので、徒歩10分は最寄駅から800m歩くことを意味します。しかし広告表示は信号待ちや坂道などを考慮しないほか、真上から見た最短距離を元に算出されるので、物件の立地によっては1km近く歩く可能性もあります。それでも、より快適な住まいを選ぶ人が増えたわけです」
首都圏の地価は「三極化」していく
これから首都圏に家を買おうとする人は、どんなことに気をつければいいのでしょうか。まずは首都圏の地価がどう変化するかをイメージしてみましょう。
「日本の土地総額はバブル期に約2400兆円でしたが、現在では約1000兆円と約半分に下がっています。およそ30年で半値にまで下落したことになります。しかしこの数字は、あくまで平均値。実際には、土地の価値は全国満遍なく下がるのではなく、上がる場所と下がる場所の格差が開いています。私は今後、地価は次のように三極化すると見ています」
『価格維持あるいは上昇する地域』(10~15%)
『なだらかに下落を続ける地域』(70%)
『限りなく無価値あるいはマイナスの地域』(10~15%)
「トップ15%の『価格維持あるいは上昇する地域』は都心・駅前・駅近・大規模・タワーといったワードに代表されるような、価値が上昇し続けているエリアを指します。いわゆる、一等地です。
次点の『なだらかに下落を続ける地域』は、都心から30~40kmほど離れているかつてのベッドタウンが該当します。今後人口が減少していき、徐々に価値が下がっていくことが予想されるエリアを指します。3つのカテゴリの中でここに当てはまるエリアが一番多いです。イメージしやすいように地名を挙げると、千葉県柏市や船橋市、埼玉県さいたま市、神奈川県相模原市、東京都町田市あたりですね。
最後の『限りなく無価値あるいはマイナスの地域』は、かつてはベッドタウンだったものの現在は人が減り、売れずに残ってしまうエリアを指します」(長嶋さん)