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当初は「売れない」と酷評。ロッテのクーリッシュ、唯一無二な存在感の秘密

ビジネス

進化しているパウチ容器

 発売から20年近くたつ「クーリッシュ」が支持され続けている理由は何か? 「味わいと喉ごしを追求し続けてきたこともそうですが、容器の進化も大きいです」と、平井氏は語る。

 一見するとデザイン以外変わっていないように見える容器も、発売当時のものと現在のものは異なる。これまでに2007、2009、2018年の3回、大きく変更されている。2007年は容器の素材を見直した。最大の変更は、素材の中に不織布を挟んだこと。これにより冷たさが遮断され、冬になると冷たくて持てなかった「クーリッシュ」が冬に持てるようになった

 2009年はサイズ感を変更。内容量はそのままに、スリムな形状にした。スリムにすることでもみやすくなり、アイスがよりほぐれるようになった。2018年は容器のキャップのサイズを大きくした。お客様相談室に「フタが開けづらい」といった不満の声が多く届くことを受けて対応。大きくすることで開けやすくし、より老若男女問わず飲んでもらいやすいようにした。

クーリッシュ

キャップが大きくなったことで吸い口も拡大。ストローも短くし、詰まらないようにした

「パウチ容器を使っているので、お客様の不満足がわかりやすく出てくると思っています。これまで、お客様の不満点を愚直に改善してきました。ちょっとしたことですが改善には時間や投資が必要なので、約20年かけてようやくここまできました」

変えてはいけない2つのこと

クーリッシュ

 パウチ容器入りのアイスは「クーリッシュ」以外ほぼ見当たらない状況。オンリーワンであり続けているが、競合品が出てこない理由は高度な技術を磨き続け簡単にマネできないからであった。

微細氷の製造に関する特許と、微細氷をほぐれやすくする技術の特許を取得しています。製造に関する特許は期限が切れましたが、この2つの技術は20年以上かけて追求しているものなので、同じクオリティーでつくるのは難しいはずです」

 ただ、これまでの約20年はいい時ばかりではなかった。発売された2003年は低迷していたアイス市場が落ち込むところまで落ち込んでいた頃だったので、話題性もあり爆発的に売れ、全国発売が始まった2004年もその勢いを持続した。しかし、ブームのように売れたのでその後は売れ行きが急降下。数年間、売れ行きが苦しい状態が続いた。

 苦しい時ほど現状を打開するために突飛なことを考えがち。ブレて迷走しがちになるが、そういう時ほどブランドとして変えてはいけないことに立ち返ってきた。その一方で、ユーザーの声などから改善すべき点の改善を実施してきた。

「クーリッシュ」で変えてはいけないことは、次の2点である。

・しっかりした味わいをスッキリ飲む
・微細氷と合わせて飲む

 その後、何とか売上を持ち直した「クーリッシュ」だったが、発売当初のように爆発的に売れるというよりは堅調に伸び続けている。

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