JALがキーマン?日本初の「公認民泊サイト」を待ち受ける難局
子会社と合併もビジネスとして厳しい状況
直近の資金繰りに関しては、流動資産5億8400万円に対して、流動負債は1億300万円となっているので、すぐさまどうこうというのはなさそうですが、現段階ではビジネスとして成立しているとは言いがたく、今回の決算公告ではもともと「STAY JAPAN」を運営していた子会社の「とまれる」との合併も発表しています。
とはいえ、「STAY JAPAN」の場合は、従来より合法の物件のみを扱っていた(本来、当然といえば当然ですが)面もあるので、6月以降の全面解禁によって物件の供給数が伸びてきたり、JALとの提携のような送客の強化が成功すれば、収支改善が進んでいくという可能性は十分あります。
違法民泊や問題物件が横行すれば民泊新法も危険
一方で、これまでに多数横行している違法の“ヤミ民泊”に対して、安全面や衛生面といった義務は徹底されるのか。年間180日の稼働でそれらのコストを上回るメリットが貸主や投資側に残るのか。
あるいは周辺住民の住環境は守られるのか、といった課題が民泊に残されているのも現実で、2018年2月には大阪で行方不明だった女性が違法民泊物件から遺体で発見されるといった事件も起きています(:参照)。
これらの課題が解決できないようであれば、各自治体としても条例などによる規制を強化せざるを得ず、民泊新法も骨抜きになるでしょうし、百戦錬磨のようなプラットフォームのみならず、民泊そのものが国内では成立しないといった結果も避けられません。
2015年の規制改革会議では経済効果10兆円台の試算もぶち上げられ、2030年には訪日観光客6000万人の観光立国を目指すとした政府の方針の上でも、インフラ上の重要なキーになるであろう民泊が、目論見通りに人や経済の流動化に貢献できるのか、ますます注目ですね。
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<TEXT/平野健児>