インスタに「#給与明細」をアップする人が急増中。何のために?
「家計簿代わりに使っていただけなんです」
木田麻衣子さん(仮名・26歳)事務職
2人目の木田さん(仮名)は毎月給与明細や、自身が知った節約術や購入したものの値段をこまめにアップして、家計簿代わりにインスタグラムを使っていた一人。節約に興味がある人からのフォローや「いいね!」が少しずつ増えていくのも「節約の励みになっていた」と言います。
「彼氏と同棲を始めたことをきっかけに、結婚資金を貯めるためにインスタグラムで家計簿を付け始めました。給与明細をアップしたのも、毎月の収入を記録するためです。インスタでは“節約していてスゴい!”とコメントをもらえたりするので家計簿を付けるモチベーションが続いていました」
しかし、木田さんは自分だけでなく、同棲していた彼氏の給与明細もアップしていたのです。
「彼には許可を取っていたんですが、彼の会社の人から注意を受けたみたいで……。投稿を削除するように言われて、大喧嘩になりました。ここまで続けた投稿をやめたくないという気持ちが強かったんですが、泣く泣く削除しました」
インスタグラムを「個人的な記録用」として活用する人は多いですが、フォロワーが増えると、「もしかして〇〇の会社ですか?」と特定されてしまうリスクもあります。誰が見ているか分からないと危機意識を持つことが重要かもしれません。
「辞めた会社だからいいと思っていたんですが…」
神田修さん(仮名・28歳)介護福祉士
3人目となる神田さん(仮名)がアップしたのは、3年前に退職した介護事業所の給与明細。ふとしたことから見つけ、あまりに低い金額だったので自虐ネタのつもりで投稿したという。
「3年も前に辞めた会社だったし、遠方に引っ越したこともあって“別にいいかな”と思い、事業所名が写った給与明細をアップしてしまいました。あまりに給料が低くてパワハラもあり、かなりブラックだったということも書いています。所長に見られたらヤバイかもしれませんね……」
給与明細をアップしている目的として、高額の給料を自慢するための投稿はほぼいません。介護士や保育士など「働きに対して、給料が低く報われない」ことを嘆く投稿が圧倒的多数を占めます。
「知り合いやその周囲が発見してコメントを残してくれたものの、幸いなことにプチ炎上くらいで、やばいと思って削除したので、元いた会社の人間にはまだバレていません。もしあのままアップし続けていたら……ゾッとしますね」
また、「出勤日数が月30日」「残業時間250時間」など、勤務先がいかにブラック企業であるかを暴露するため、給与明細をアップする人もいます。そこには「悲惨な現状をみんなに知ってもらいたい」という動機が働いているようです。