生命保険は20代で入らないと損なの?保険に関する素朴な疑問をプロに聞く
貯蓄があったら生命保険はいらないのか?
一方で生命保険は若ければ若いうちに加入すればいいというわけでもないのが難しいところ。いくら安いといっても月々の保険料を支払えなければ意味がない。しかし、「収入が安定してから加入しよう」と後回しにするほど、年齢も、保険料も上がるというイタチごっこが起きる。
また、前述のように健康状態によっては加入できないケースもあるため、「いつか加入したい」と思っているのであれば先送りせずに検討したほうがいいそうだ。一方で「万が一のケガや病気になったときに治療費分の貯蓄があれば、生命保険に加入していなくても問題ない」という意見について、入江さんの見解はこうだ。
「入院したり働けなくなったとしても、貯蓄を取り崩せば生活費と治療費が賄える場合、もしくは不動産収入や株の配当等など働かなくても十分に収入がある場合には生命保険に入らなくてもいいと思います。ただ、働けなくても生活費はかかるので、30歳の方の生活費が月20万円だとすると、65歳まででトータル約8400万円かかります。
またガンなどの重い病気であれば数年単位の治療になります。『日本は公的な医療制度があるから心配ない』と考えている人もいますが、病気にもよりますが年収700万円の人であれば月々8万円ほどの医療費がかかる場合もあります。
加えて政府は高額医療制度の見直しも検討しています。ケガや病気になっても働かずに諸々の生活費が補え、さらに治療費も払えるという人は一握りの人だと思います。生活費がギリギリで毎月カツカツという人以外は、やはり生命保険は加入するべきではないでしょうか」
月収30万円なら保険料は?
日本では数多くの保険会社がさまざまなプランを販売している。単純に保険料だけで比較はできないが、生命保険の保険料は毎月の給料の何%を目安にすべきなのだろうか。入江さんが所属する保険クリニックの調査では、目安は夫婦だけの世帯では8%、3人家族(会社員の父、専業主婦の母、赤ちゃん)は10%、3人家族(会社員の父、専業主婦の母、中学生)は6%ほどなのだとか。
一方で、公益財団法人生命保険文化センターの「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」によると、生命保険加入世帯の収入に対する保険料の比率は6.7%という結果だった。これは月収30万円であれば約1.8万円ということになる。
「ただ、この目安にとらわれすぎると、本当に必要な保障が持てなくなることも。たとえばお子さんがまだ赤ちゃんの年齢であれば仮に大黒柱のお父さんが亡くなったことを考えれば、目安より保険料が多少高くても備えるに越したことはないでしょう。
特にファミリー世帯の場合は家族の変化とともに備えるべき保険の厚みや内容も変わってきます。お子さんが小学校に入学した、専業主婦のお母さんが働き始めたなどのタイミングで定期的な見直しはとても重要。必要な保障は人によって違うのでプロに相談してもらうに越したことはないと思います」