1カ月にわずか3回だけ走る黄色い新幹線の正体とは?実は“正式名称”も存在した
新幹線は再び世界最速に返り咲けるか?
海外の高速鉄道のなかでも、フランスのTGVを知っている人は多いだろう。2007年に、走行実験で時速574.8キロメートルという驚異のスピードを出して世間を驚かせたが、さすがにこの速さでは、列車内で立っているのも困難だったようだ。TGVは営業運転においても、時速320キロメートルと世界最速を誇る。だが、1981年までは世界最速鉄道の代名詞といえば日本の新幹線だった。
新幹線は、1964年の開業時には時速200キロメートル、翌年には210キロメートルで東京~新大阪を3時間10分で結んだ。以来17年間、新幹線は世界一速い鉄道として走り続けたのである。時速200キロメートルを超えた鉄道・新幹線の登場は当時、世界に衝撃を与えたが、鉄道先進国だったヨーロッパも負けてはいなかった。
1981年、TGVは時速260キロメートル運転を開始して、新幹線を追い抜き世界一の速さに躍り出るや、1989年にはとうとう時速300キロメートルの大台を突破した。もちろん日本のスピード化も負けてはいない。1992年に時速270キロメートルを出す「のぞみ」が登場し、1997年にはJR西日本の500系が時速300キロメートルの運転を開始した。
アジアにも広がる列車のスピードアップ
そして、2013年3月16日から、日本もついに東北新幹線のE5系「はやぶさ」が営業運転の速度をTGVと同じ320キロメートルに上げた。また、2014年3月のダイヤ改正で秋田新幹線のE6系「こまち」も最高速度を320キロメートルに引き上げられた。
日本は再び、ヨーロッパと肩を並べることになったわけだが、今やライバルはTGVだけではない。新幹線とTGVのスピード競争に触発されたのか、列車のスピードアップはほかのヨーロッパ諸国やアジアにも広がっている。
たとえば、ドイツのICEも時速320キロメートル台で営業運転を行なっている。また、新幹線のように車輪でレールを走る方式の軌道式鉄道とは異なるものの、世界初の営業用浮上式リニアモーターカーである中国・上海のトランスピッドは、約30キロメートルの短い区間ながら最高速度430キロメートルでの営業運転を実施している。