飛行ルートは誰がどうやって決めているのか?フライトごとに変わる秘密
飛行ルートは誰がどうやって決めているのか?
次に、この飛行計画書をもとに、空港でパイロットとブリーフィング(打ち合わせ)をする。これは作成したディスパッチャーが行なうこともあれば、別の人が行なうこともある。簡潔にまとめられた計画書にもとづき、なぜこのルートにしたのかをひとつひとつパイロットに説明。パイロットが承認することでルートが決定する。
また、悪天候などの際に運航の中止を判断するのもディスパッチャーの大事な任務で、責任も重大である。離陸後も、無線で最新の気象情報や上空の様子などを確認して、何かあればルートの変更などを指示する。フライトが無事終わるまで気が抜けない大変な仕事なのだ。
まさにディスパッチャーは“地上のパイロット”ともいうべき存在なのである。飛行機はそうした地上組の緻密な計画やバックアップがあってこそ、安全な運航が可能になるのである。
出発前の機内アナウンス「ドアモードの変更」とは?
旅客機が着陸してブリッジにたどり着いたとき、機内に「乗務員はドアモードをディスアームド・ポジションに変更してください」というアナウンスが流れる。すると、客室乗務員がドアに向かって何か作業を始める。これを、ドアのロックをはずしているのだと思う人もいるようだが、そうではない。
キャビンのドアの内側には緊急時の脱出用の救命ボートが収納されている。緊急時にドアを開けるとわずか10秒で自動的にガスが充てん填され、救命ボートが膨らむしくみになっている。もちろん、ふだん乗客が降りるときにドアを開けても、救命ボートが出てくることはない。
機が着陸して乗客を降ろすとき、ドアを開けた途端に救命ボートが出てきたら、ボーディングブリッジが接続されているので大変なことになり、外にいる人に危険をおよぼす。そのために、着陸する前にドアモードを解除して救命ボートが飛び出さない状態にするのである。この状態を「ディスアームド・ポジション」または「マニュアル・モード」という。