空前絶後の好決算に沸く「海運大手3社」、株価高騰はいつまで続くか
不採算事業を切り離したのが救世主に
実はこの会社、海運3社のコンテナ船業の収益性が悪化したことにより、事業を統合して2017年7月にできた会社です。日本郵船が38%、商船三井が31%、川崎汽船が31%を出資しています。不採算事業を切り離して作った合弁会社が、株価の急騰を招いているのです。
オーシャンネットワークエクスプレスは今のところ、2021年3月期の決算までしか発表していません。業績の推移を見ると、新型コロナウイルス感染拡大が深刻化した2021年3月期から、明らかに潮目が変わっているのがわかります。
2021年3月期の営業利益は3955億4300万円と、前期と比較して10倍へと跳ね上がっています。38%を出資する日本郵船が2022年3月期に7400億円の投資利益を計上していることから、オーシャンネットワークエクスプレスは2022年3月期に2兆円程度の純利益を出した可能性が高いです。新型コロナウイルス感染拡大という状況下で、凄まじい利益を叩き出しています。
コンテナ船の運賃は2年で6倍に
コンテナ船業が突如として利益を出すようになった理由は、賃料がコロナをきっかけに暴騰しているためです。下のグラフは日本海事センターが公表している北米往航西岸・月別運賃指数の推移。青い棒グラフは運賃指数を示しています。
運賃指数は2020年後半から急上昇しています。横浜、ニューヨーク間の40フィートコンテナ輸送船賃料は、2020年1月は2,540ドルでした。それが2022年1月は16,070ドルまで上がったのです。40フィート(12メートル)のコンテナ1個を横浜からニューヨークに運ぶのに必要な料金が、2020年1月は30万円ほどだったのに、2022年1月は190万円まで上がったことになります(為替変動がなく、1ドル120円だったものとして計算)。
コンテナ船の賃料高騰には、大きく3つの要因があります。供給量の縮小、需要の爆発的増加、別の輸送手段が制限されていることです。