中国共産党は外交で失策しても倒れない?国際政治を知るための「入門書」
【2】中国政治研究の大家による集大成
2冊目は、国分良成『中国政治からみた日中関係』です。2017年に書かれたこの本はチャイナ政治研究の大家である国分先生の「研究の集大成」です。先生自ら、そのように位置づけられています。
国分良成先生は慶應義塾大学で長年教えられたあと、防衛大学校の学長も務められました。チャイナ政治の研究者の筆頭に必ずというほど、その名が挙がります。国分良成先生の名を知らなければ、チャイナ政治研究筋では“もぐり”と認定されても文句は言えません。それぐらい有名な先生(※3)です。
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※3「有名な先生」=有名だからといって全員が良いってわけではないですけれども、やはり業界第一人者の先生の集大成ともなれば読んでおかねばなりません。ビートルズベストヒットメドレーみたいなものです。あと個人的に慶應卒塾生なので、ここはイチオシしておきたいわけです
【3】米中対立の本質を解説
3冊目は佐橋亮『米中対立』です。2018年、アメリカトランプ政権時に突如として始まった米中貿易戦争に端を発して、2019年12月、チャイナで最初に報告された新型コロナウイルス感染、いわゆる、“コロナ禍”期間を通じて、アメリカで対中関係を見直す動きが加速されました。米中対立の悪化が鮮明になったのはまだ記憶に新しく、そのハードなようでいてマイルドな対立状態(※4)は現在進行形です。
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※4「マイルドな対立状態」=「米中新冷戦に非ず」、大国はハイブリッド・ストラグルの時代へ、というのが僕の持論です。詳しくは『巨大中国を動かす紅い方程式』にも書いたので、長すぎるためココでは述べませんけれども、少なくとも、米ソ冷戦のように軍事・経済・イデオロギーなどがパックリ2つの陣営に分かれてないことが大きな違いです。今の米中はまったく冷戦構造近似ぢゃぁないです。
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佐橋先生のこの本は、米中対立の本質を解き明かし、世界が今後どこへ向かうのかを考えるために、特に1979年の米中国交正常化から詳細な分析が始まり、今では強硬な対中姿勢をみせるようになったアメリカに注目しながら議論が進められます。