業績不振の「小僧寿し」が企業買収を繰り返す背景。迷走か、成長の礎か
小僧寿しを巧みに操る影の実力者とは?
小僧寿しが買収するアスラポートは、2期連続の赤字です。小僧寿しは5億1800万円で買収します。その資金を調達するため、第三者割当増資を実施。
引き受け手の1人が檜垣周作氏です。檜垣氏は小僧寿しの取締役であり、一連のM&Aに強く関与している人物です。
檜垣氏はJFLAホールディングスの社長でもあります。そしてJFLAホールディングスは、2021年12月末時点で小僧寿しの12.20%の株式を握る筆頭株主。第2位の株主がHISグローバルで5.60%。
それに続くのが阪神酒販で5.25%です。実はHISグローバルと阪神酒販の代表も檜垣氏が務めています。小僧寿しは、檜垣氏の強い影響力のもとにある会社なのです。
居酒屋中心の事業は切り離したい?
「とり鉄」のトランセア、「どさん子」「ぢどり亭」のアスラポートはJFLAの傘下にありました。JFLA側から見れば、新常態で業績への貢献度が低くなった居酒屋中心の事業は切り離したいと考えるはずです。同社の主力はファーストフードの「タコベル」や「BAGLE& BAGLE」に移っているためです。小僧寿しはその受け皿になりました。
また、食肉加工のミートクレストを小僧寿しに売却したのは、檜垣氏が代表を務めるHISグローバル。100%の株式を保有しており、全株を小僧寿しに譲渡したのです。
アスラポート買収のための第三者割当増資は、JFLAホールディングスも間接的に株式を引き受けます。合計で保有比率は21.78%となる見込みです。これによってJFLAの関連会社となりますが、子会社になるわけではありません。檜垣氏の強い影響力下にありながら、JFLAとは微妙な距離感を保ったままなのです。
<TEXT/中小企業コンサルタント フジモトヨシミチ 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>