日本の4000万人は「お酒を飲まない人」。アサヒビールの新会社社長に聞いた
お酒を飲まない人は日本に4000万人いる
アサヒビールの推計では、お酒を飲まない人は日本に約4000万人いる。これは日本の20~60代の人口の約半数に相当する。この結果は衝撃的ではあるが、前向きに捉えた。
「周りにお酒を飲む人が多いので、みんな飲んでいるものだと思っていましたが、フタを開けると違っていました。この現実をまずいと思うか、チャンスと捉えるかですが、私たちはチャンスと捉えました」
チャンスと捉えた背景には、Z世代をはじめとした若い世代のお酒に対する意識の変化があった。
「当たり前のようにお酒を飲まされた40代、50代には、飲めないのに飲まされ大変な目に遭った黒歴史がいっぱいあります。その時の経験から、お酒が飲めない人はお酒を敬遠するようになりました。ですが、若い世代はこういう経験がありません。飲めなくても無理に飲まされることはなく、お酒に対する嫌悪感がないのです。面白そうなノンアルコール飲料やローアルコール飲料を提示すると食いつきがいいことがあります」
お酒が飲めない人たちのバーを渋谷で企画
スマドリ初の取り組みになるのが、6月30日から東京・渋谷でオープンする「SUMADORI-BAR SHIBUYA」。2021年10月頃から事業化できるかどうかのリサーチを始め、12月からオープンに向けて具体化を急ぐことにした。バーは、お酒が飲めない人たちの人生を豊かにしてもらいたいという思いから企画された。
お酒が飲めない人は、お酒の提供価値のひとつである気分をアゲることが日常生活から欠落。加えて、食事とお酒がセットになっている日本の食文化では、飲むものを選ぶ楽しみもない。お酒が飲めない電通デジタルのスタッフと梶浦氏が話していても、これらは感じ取れたことだった。そこで、食事に合わせてお酒を選ぶ日本の食文化を体感できる場を提供することにしたわけである。
「SUMADORI-BAR SHIBUYA」は席数が70で、営業時間は12時から22時まで。ノンアルコールから微アルコール、低アルコール飲料まで全100種類以上のドリンクメニューを用意する。100種類以上のドリンクメニューはアサヒビールだけではまかなえず、輸入物も含めて他社商品もそろえる。選択肢を提供するという意味からたくさんあった方がいいと考えていたが、100種類以上用意することまでは考えていなかったという。
「たくさんと言ってもわからないので、100種類を目標にして頑張って用意することにしました。100種類に深い意味はなく、わかりやすさを数値化することのほうが大事でした」