元アイドル、歌手、芸人…「参院選」はタレント候補も乱戦。参加は“推し活”で
持ち歌を披露するのはNG。なぜ?
候補者のほかにも、街頭演説では芸能人が登壇することも珍しくありません。歌手の松山千春さんは、鈴木宗男さん(74)の応援で頻繁に選挙カーに乗っています。
また、山本太郎代表が初出馬した2012年の衆院選では、ジュリーこと沢田研二さんが応援弁士として登壇しています。芸能人といえども、選挙応援はノーギャラです。そこまでの交通費などの経費も受け取れません。なぜなら、公職選挙法は金銭の支払いを禁じているからです。そのため、応援弁士は本当に応援したい候補者のところにしか来ません。
また、候補者本人や応援弁士として登壇した歌手が持ち歌を披露することもNGです。これは、歌に経済的価値があることに起因しています。つまり、プロの歌手が歌を披露したことで有権者を買収したとみなされる可能性があるからです。
集まったファンは公職選挙法を知らないので「なんで歌ってくれないの?」と不満が漏れることもあります。それでも集まった有権者に1票を投じてもらうため、公職選挙法に触れない程度で楽曲の一節ぐらいを口にすることはあります。
選挙はある意味“推し活”か
選挙は、硬い&難しいイメージが強いかもしれません。6~7月の暑い日に、一般的な感覚だったら政治家の長話は苦痛でしかありません。
しかし、最近の街頭演説は少しずつ変わっています。これまでは一方的に政治家や候補者の話を聞くスタイルでしたが、集まったギャラリーがマイクを握り、意見や疑問をぶつけられるようになっているのです。
AKB48の総選挙は、ファンクラブへの入会やCDなどのグッズ購入が条件としてありました。しかし、参院選の参加資格は満18歳以上の日本国民です。選挙は、テレビやネットで見たことがある有名人に、直に、しかも無料で会うことができます。
私たち有権者は、なにも臆することはありません。選挙を政治イベントと捉えるのではなく、“推し活”と考えれば参加する心理的なハードルも下がるはずです。積極的に選挙に参加し、楽しみましょう。
<取材・文・撮影/フリーランスカメラマン 小川裕夫(@ogawahiro)>