シェア8割「アロンアルフア」インパクト重視の“奇抜なCM”戦略の狙い
発売当時のデザインを継承している
また、テレビCMだけではなく、製品開発においても時代のニーズに合わせてラインナップの拡充に努めているという。基本的には商品から受け取るブランドイメージを重視して発売当時の色や形といったデザインを踏襲しながら、製品の改良や開発を行っているそうだ。
「接着液は早く固まるように、時代を重ねるごとにグレードアップしています。例えば、50年前の発売当時はビニールや陶器、木材などの素材にはつかなかった。それが、現在ではいろいろなものにくっつくようになり、利便性が格段に向上しました。製品のバリエーションを増やしているので、多様なニーズに応えられるようになっています。
また、容器もだいぶ進化していて、昔は付属の針で接着液を出すという仕組みでしたが、2004年にキャップで密閉するという形に変わりました。そして最新のものは、キャップを外してすぐに使えるワンステップ形式になっており、時流を捉えながら改良を重ねています」
「機能的価値」から「情緒的価値」を提供
今後、アロンアルフアが目指すのは、単に「接着液を売る」のではなく「接着液でどんな課題を解決できるか」といった購買後の製品体験を作ること。安藤氏はそう話し、展望を見据える。
「モノからコト消費へとも言われていますが、これまでアロンアルフアが訴求してきた『強力』や『瞬間』などの機能的価値から、情緒的価値を醸成できるよう、広告やコンテンツを作っていければと思っています。というのも、一般のお客様にとっては接着時間が5秒から3秒へと短縮されても、メリットが伝わりづらく、実際何に使ったらいいかわかりにくい。
お客様が得られるベネフィットや使用シーンが明確になるようなブランドコミュニケーションを意識し、アロンアルフアを手に取ってもらいたいと考えています」
直近のコロナ禍では、オフィス需要の低下の一方、ホームセンターやECでの販売は好調だという。毎回、関心を集めるテレビCMはもとより、進化を重ねるアロンアルフアの行く末にも注目していきたい。
<取材・文・撮影/古田島大介>