コロナ禍で飛躍「進化型コインランドリー」社長に聞く、従来との違い
薄暗かった、あの頃のコインランドリー
――しかし、年に数度しか洗わない毛布などはやはりプロであるクリーニング店に任せたい気持ちになりませんか?
永松:実は、現在一般的なアクリル製の毛布だと、クリーニング店もコインランドリーと同じ洗い方なんですよ。また、クリーニングだとお店に預けてから少なくとも数日かかりますよね。それが、コインランドリーなら1時間程度ですみますので、気軽に洗えるのが大きいと思います。
――バルコは「進化型コインランドリー」と呼ばれていますが、従来はどういう存在だったのでしょうか?
永松:1970年頃、自宅に洗濯機やお風呂のない世帯向けのサービスでした。そのため、当時コインランドリーに並んでいるのは、家庭用の小さな洗濯機が中心で、実用性を重視してデザインには気が向けられていませんでした。さらに薄暗かったりもして、私自身も積極的に利用したいお店はあまり多くありませんでした。
何が新風を巻き起こしたのか
――それから2016年にバルコが誕生するまで、40年以上にわたってその点に一石を投じる店が出てこなかったのはなぜなんでしょうか?
永松:この業界はもともと土地活用の投資という側面が強くあったからです。無人運営なので低コストで売り上げが取れます。オーナーには投資家の方も多く、無駄を減らすという発想に向きがちなビジネスでした。そのため、徐々に変化はあるもののユーザー視点の新たなスタイルが生まれにくかったんだと思います。
――永松さんがその点に気づくだけでなく、会社を起こすに至ったきっかけを教えてください。
永松:私は以前、業務用洗濯機を開発・販売する三洋電機株式会社(現・アクア株式会社)で働いていたので、全国のさまざまな店舗を見て回り分析を続けていました。そして、この市場に大きな可能性を感じ、当時の上司が立ち上げる会社に参画することを決断して、選択の品質と内装などのデザインにこだわる店作りを目指しました。