税や保険料の「国民負担率」が過去最大に。懸命に働く人が“報われない”日本は変われるのか
深刻な格差社会の到来か
「そうなれば、たくさんの倒産やクビ切り、就職難が起きないか心配です。このままでは商店街の個人店舗や町工場など、ほとんどの中小個人事業者が消えてグローバル大企業と全国チェーン店ばかりが生き残ります。その結果、多くの人がそのような企業の下で、非正規労働者として生活せざるを得ない格差社会が訪れるでしょう」
とはいえ、2021年の総裁選や衆議院選挙の時、岸田首相は「新自由主義からの転換」をスローガンにしており、新自由主義を推進するような政策には違和感を覚える。
「岸田首相には確固とした経済政策理論を持っていません。コロナ禍によって政府債務が膨れ上がった現状に動揺して、『このままでは財政破綻する!』『増税はやむなし!』といった危機感を煽る議論に引っ張られているのでしょう」
参議院選挙で注目すべきポイントは
ディストピア化が止まらない日本を変えるには、やはり選挙しかない。2022年夏ごろに参議院選挙が行われるが、松尾氏に参議院選挙に向けての注目ポイントを聞くと「とにかく、すでに(前々回の記事)お話しした“コスト・プッシュ・インフレ”と“ディマンドプルインフレ”の違いを見極めることが重要です」という。
「現在は輸入コスト増によるコスト・プッシュ・インフレ型のインフレが起きているため、『今はインフレだから財政支出なんてしてはいけない』と主張する人が、政策の主導権を握れば日本経済の低迷は不可避。失業・倒産の連鎖の果てにスカスカの格差社会が完成するでしょう。
コスト・プッシュ・インフレに対処するには、同じコスト・プッシュ要因である消費税やガソリン税などの減税が王道です。そのうえで、コロナ対策や少子高齢化対策、防災など、やらなければならないことに財政赤字を恐れずに大胆に政府支出するしかありません。
その結果、国民の経済的な余裕を生み出せば、景気は回復して大幅な賃上げと安定した雇用を生み出せます。そんな政策を掲げる候補者、政党を国会に多数送り出さなければなりません」