事業価値を失った「西武・そごう」売却。セブン&アイの決断は必然だったか
営業利益率で差を見せつけるセブンイレブン
売却の意思決定に大きく影響したのが、アクティビストファンドの存在です。株式の4.4%を保有する米アクティビスト、バリューアクト・キャピタルは2022年1月に部門売却や分社化などを検討するようセブン&アイに書簡を送りました。
バリューアクトはコロナ禍の2021年5月にセブン&アイの株式を市場から買い集め、中核的投資先に位置付けたと発表しました。バリューアクトはファンドに出資する投資家に対し、コンビニ事業に集中することで、評価額が2倍強になるとの書簡を送っていたとされています。
コンビニに経営資源を集中すべきだという指摘はもっともです。セブンイレブンは国内大手のコンビニと比較しても、驚異的な収益力を誇っています。売上高においてはファミリーマート、ローソンを2.5倍上回っています。驚くべきは営業利益率で、2021年2月期のセブンイレブンは25.4%、ファミリーマートが11.5%、ローソンが7.4%でした。他社を圧倒しているのです。
競合他社と10万円以上の差が
セブンイレブンの国内の店舗数は21327店舗(2022年2月末時点)。ローソンが14476店舗(2021年2月末時点)、ファミリーマートが16574店舗(2021年1月末時点)です。他社と5000店舗以上差が開いており、スケールメリットが働いているのは間違いありません。しかし、セブンイレブンの集客力の高さは日商によく表れています。
セブンイレブンの2021年2月期の日商は64万円。ファミリーマートが48万円、ローソンが49万円です。競合他社と10万円以上の差が開いているのです。
百貨店事業を早期に売却し、その資金を設備投資やFC加盟店獲得に投資をすることで、コンビニ事業の再成長を促すというのがバリューアクトの狙いです。