“スマホの奴隷”に…リモートワークで「生産性がダウン」する人の特徴
仮説思考が仕事のスピードアップに直結
数年ほど前に印象的だったクライアントの話です。シニア層向けの市場開拓プロジェクトチームのメンバーAさんです。
順調にキャリアを積み重ね、30代でプロジェクトリーダーに任命されたAさんは、意気揚々と新たな市場開拓の切り口を求め、検索エンジンで情報収集から着手しました。現在のシニア市場の状況とビジネスの機会はどこにあるのか? 手がかりを得ようと手分けしながら検索を始めましたが、当時、プロジェクトのコーチをしていた私に浮かぬ顔で相談してきます。
「いろいろと調べているのですが、どのあたりまで手を広げて情報収集すればよいのか分かりません。検索すればたくさん情報は出てくるのですが……」と、焦りの色が表情からにじみ出ています。
聞いてみると、「シニア、ビジネス」や「シニア向け、新規事業」といった漠然としたキーワードで検索しているため、膨大な情報が集まっただけだったのです。もちろん、一発で有益な情報がヒットすることがあるかもしれません。でも、それは偶然です。また、仮に毎回、検索結果の上位に一発で有益な情報が表示されても、他の人も同じ情報にアクセスしているため独自性のある切り口につながりません。
仮説を立てて検索の方向性を決める
ちなみに、「シニア、ビジネス」と検索すると、本書の執筆時点で約7000万件の情報がヒットします。これでは簡単には有益な情報にたどりつけません。有益な情報を得るには、何が“有益な情報”かを事前に定義しておく必要があります。言い換えれば検索する前に、仮説を立てて「検索の方向性を決める」ことです。
たとえば「シニア層が増える社会ではどんな状況が想定されるか?→足腰が悪いシニアは買い物に行きにくい→宅配の比率が高まるだろう→シニアのスマホ所有率は上がっている→ネット通販が有望ではないか?」と。
事前に仮説を立てておけば、検索の方向性は第一案として「シニア向けのスマホを使った通販ビジネスについて」などと絞ることができます。その上で、たとえば「シニアの買い物実態」「スマホによるネット通販企業の動向」などと調べる範囲を具体化していけば、大量な情報の中で迷子になることも防げます。