「殺されるかも…」2世信者の女性が苦しんだ“婚前恋愛は堕落”という呪縛
特定の宗教を信仰している親の元で育った子ども、あるいは親と同様の宗教を信仰している子どものことを指す「宗教2世」という言葉を聞いたことがあるだろうか。
特定非営利活動法人「結婚相談NPO」では、非正規雇用者のサポートや障がい者の婚活、そして宗教2世、3世の婚活支援をスタートさせている。本インタビューでは2回にわけてその活動内容や、宗教の2世信者が陥る結婚の課題については探っていく。
前編では自身も宗教2世として育ち、現在は宗教2世の方々の婚活に寄り添う結婚相談NPO「ブライダルサポーター」スタッフ・佐藤さんに詳しく話を聞いた。
“お兄さん”、“お姉さん”に育てられる
一口に「宗教2世」と言ってもさまざまなケースがあるが、佐藤さんの場合は両親がとある宗教を篤く信仰しており、その子どもである佐藤さんも同じように信仰していたパターンだ。
海外に伝道に行くことも多かった両親とは幼少期の会話も少なく、その代わりに両親の教え子であり、“お兄さん”、“お姉さん”と呼んでいた宗教1世の方々が家で面倒を見てくれるなど、一般家庭とはかなり異なる環境で育った。
「1世のお兄さんとお姉さんは20代という若さで、住み込みで私たち4人を育ててくれました。大人になってみると改めてその信仰心の凄さを感じます。彼らは育ての親のような存在であり、大人になった今でも繋がりがあります。でも、親は家にあまりいないだけでなく、話しかけても『忙しいから』と遮断されていたので、とても寂しかったです」
「神の子が生まれた」ともてはやされた
「親とはまともに会話さえできないので、寂しすぎて1人で泣くことも多かったです。『信仰すれば素敵な家族を持つことができる』という理想家庭を掲げる宗教だっただけに、『一生懸命信仰しているのに、なぜこんなにツラいのか』と思っていました」
特に佐藤さんの周囲では2世がまだあまりいなかったこともあり、その存在が貴重だった。周囲の1世の人たちからもずっと「神の子が生まれた」ともてはやされていた。しかし、実際には周囲が羨むような家ではないと感じ、理想と現実のギャップに悩んでいたという。