必要派はわずか4割…職場「飲みニケーション」の意義を改めて考える<常見陽平>
2021年11月。大手保険会社・日本生命が職場での「飲みニケーション」についてのアンケート結果を公表し、ネット上でさまざまな意見が飛び交った。
約8000人対象のアンケートなのだが、飲みニケーション自体を「必要」としたのは11.1%で「どちらかといえば必要」と合わせて38.2%だった。約4割程度だったわけだ。
この結果をたよりに、筆者なりの見解を述べていきたい(本稿は働き方評論家・常見陽平氏の寄稿 @yoheitsunemi)。
飲みニケーション離れはコロナ禍以前から?
感染者数の減少やワクチン接種の影響で、各地の飲食店では人足が戻りつつある。しかし、友人や仲間内での気さくな飲み会であればまだしも、なぜ職場での飲み会は不要とされつつあるのか。
「新型コロナウイルスショックで世界は変わった」という言説があり、この言い回しはよく使われているわけだが、少しだけ立ち止まって考えたい。コロナで何もかもが変わったというものもあれば、以前から起こっていた変化をコロナが後押ししたというものもある。
職場でのいわゆる「飲みニケーション離れ」は以前から指摘されていた。つまり、コロナ禍が影響しているとは必ずしも言えない。
なぜわざわざ飲むのか
日本生命のアンケートは実施期間が「2021年10月1日~10月13日」となっている。緊急事態宣言明け直後である。当時の空気感もあったのだろうが、職場での飲みニケーションが「必要」または「どちらかといえば必要」と回答した人たちが、前年比で「16.1pt」も減少しているのが気になる。
行動制限が徐々に緩和されつつあるが、以前のような飲みニケーションの付き合いが復活することに嫌悪感を抱く人たちが、むしろ増えつつあるのではないか。
他人と接する機会が少なくなり、誰かと飲まない生活が定着した今、感染者数が減少したものの、感染を懸念する意識を持つ人びとが増えたのではないかとも思える。率直に、飲まない生活に慣れてしまったし、さまざまなリスクがあるなかで、なぜわざわざ飲むのかという話にもなる。