女装のオカルト研究家が分析する“陰謀論”「信じてしまう人は繋がっている」
オカルト研究にハマったきっかけは…
――雨宮さんはオカルト・スピリチュアル・サブカル研究家ということですが、そうなったきっかけは何だったのでしょう。
雨宮:小学生の頃に“学校の怪談”やコックリさんが流行っていて、UFOやUMA(未確認生命体)なども大好きでした。1999年に『ノストラダムスの大予言』が何も起こらなかったことで、大人は嘘つきだと絶望しまして(笑)。
自分の中でオカルトブームは去って、もう科学しかないと理系の方面に進んだのですが、当時「ライフスペース」や「法の華三法行」といったカルトによる事件が多発して、本でも書いたように民俗学の先生と妙に仲良くなりまして。今思うと精神世界やニューアカが好きな先生だったんだろうなと思います。そこから精神世界や宗教に関する本も読むようになりました。
――今回もメイクをして(軽めの)女装でインタビューを受けてくださっていますね。そちらの趣味はいつ頃から?
雨宮:オカルト好きがサブカルチャー、アングラへの興味にも繋がっています。6~7年前にたまたま女装とコスプレのイベントに行き、目覚めましたね。300人ぐらいが集まるような会場で、見学するだけのつもりでいたら「お兄さんは絶対に女装が似合うよ」って声をかけてもらいまして。
体験ブースでやってみたら「おお、なるほど!」と。今では週末の趣味として楽しんでいますし、アイデンティティーにまでなっています。ハロウィンイベントやニコニコ超会議、コミケ、クラブなどに出没します。
陰謀論に「パトレイバー」の世界が
――書籍の中にも、宗教史の解説の中にサブカルチャーが出てきたり、アニメ、映画の元になった思想などの説明が織り交ぜられていますね。
雨宮:やっぱりサブカルやエンタメを入れたいなと思って。オウム真理教がやっていた“空中浮揚”やヨガを見て、ダルシム(ストリートファイター)を連想した人はいますよね。陰謀論者が言う「東京を戦車が走る」ってパトレイバー(「機動警察パトレイバー」ゆうきまさみ作)の世界じゃんって。
“研究書”になってしまうと読みづらいので、これから陰謀論に染まるかもしれない人がたまたま手に取って、アニメのことが書いているなと、なんとなく入ってきてくれたら。
そんな『研究書とサブカルの間』を突くのが大事かなと思いました。後で何か変なものに遭遇した時にも、「書いてあったな」って気付いてもらえるように。