急失速した“盟主”マツキヨ。業界7位ココカラと経営統合に至った3つの理由
大が小を飲み込む…活発なM&Aが目立つ
日本チェーンドラッグストア協会によると、2020年のドラッグストアの企業数は388社、店舗数は2万1284店舗です。社数、店舗数ともに多く、経営者の高齢化が進んで事業の引継ぎに窮している会社が多くあります。
ドラッグストアの売上は商圏に左右され、属人性が低いために経営難易度がさほど高くはなく、M&Aがしやすい領域です。大手企業は成長戦略としてM&Aを積極的に活用してきました。
マツモトキヨシは売上高や店舗数よりも利益を重視し、M&Aには消極的な姿勢を見せてきました。また、美や健康をテーマとした「matsukiyo LAB」や「beauty U」を出店するなど、競合他社ではマネできない独自路線を切り開いてきたのです。この独自戦略が他社に後れをとった要因のひとつとなりました。
化粧品とインバウンド依存がコロナ禍で仇に
マツモトキヨシの2021年3月期の売上高は前期比5.7%減、ココカラファインは前期比9.3%減となり、トップ7社の中で2社だけが売上を落とした負け組です。新型コロナウイルス特需が生まれたにも関わらず、この2社はなぜ売上を落としたのでしょうか。
答えは2020年のドラッグストア市場において、唯一前年割れした分野である化粧品に隠されています。マツモトキヨシとココカラファインは化粧品への依存度が高く、都市部の繁華街に多く出店して化粧品の消費が旺盛だったインバウンド比率も大きかったことが売上の不調に影響したのです。