急失速した“盟主”マツキヨ。業界7位ココカラと経営統合に至った3つの理由
次々と追い抜かれた、かつての盟主マツキヨ
2016年3月期のマツモトキヨシの売上高は5360億5200万円でした。ウエルシアの2016年2月期の売上高は5284億200万円。ウエルシアはあと一歩届かないところにいましたが、翌年追い抜きます。その後、サンドラッグ、コスモス薬品、スギホールディングスが次々とマツモトキヨシを抜き去りました。
また、2017年9月にツルハホールディングスが杏林堂グループ・ホールディングスを子会社化したことにより、マツモトキヨシを抜き去りました。その後、サンドラッグ、コスモス薬品、スギホールディングスが勢いをつけてマツモトキヨシは6位の座に転落することとなりました。
マツモトキヨシはシェアも失っていました。2017年から2020年にかけてのドラッグストア市場の伸び率は平均105.5%。マツモトキヨシの伸び率は101.1%。ウエルシアが111.1%、コスモス薬品が109.7%、スギホールディングスが108.8%です。マツモトキヨシが勢いを失っていたのは明らかでした。
ウエルシアの強さが際立つ
しかも、驚異的な勢いで売上高を伸ばし続けたウエルシアの利益率は下がっていません。2015年2月期の営業利益率は3.1%。2021年2月期の営業利益は4.5%です。ウエルシアは薄利多売方式でシェアを獲得していたわけではありません。利益を確保しつつ規模拡大ができることを証明したのです。
ウエルシアが売上高を伸ばした要因は2つあります。1つはM&Aで店舗数を拡大したことです。もう1つが医薬品・調剤の分野に力を入れたことです。
ウエルシアは猛烈な勢いで買収を繰り返してきました。2018年3月にドラッグストア42店舗を運営していた一本堂、その年の12月に34店舗を運営するMASAYA、2019年6月に31店舗運営する金光薬品、2020年3月に24店舗を運営するよどやを完全子会社化しました。また、2020年6月に58店舗を運営するクスリのマルエの株式31.0%を追加取得して保有比率を51.0%まで高めています。