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給料も物価も安すぎる日本の末路は?仕事を奪い合う未来を専門家が予想

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国内外の労働者が仕事を奪い合う未来が到来か

 中小企業は円高の追い風を受けた格安な輸入品と競争する必要があるため、松尾氏は「淘汰・失業者増加は顕著になるでしょう」とも語る。

「さらに、菅政権下は“生産性”の高い分野への投資に積極的な姿勢を見せており、中でも“デジタル化”に対する関心が高い。デジタル化によって業務発注のハードルを下げ、人件費の安い海外企業に仕事が競合するような環境を整備しています。

 診療や授業、行政手続きなどの業務をオンライン化することにより、個人医院や教育機関などが仕事を失いかねません。最近は“新型コロナウィルスの感染防止”という大義名分を得たため、デジタル化が進めやすくなり、これまた大量失業者の引き金になります。デジタル化は最たる例ですが、昔よりも技術が進歩したことで、発展途上国でも家電や自動車など、大抵の工業製品を作ることができるようになりました。今後は国内外の労働者が雇用を奪い合う未来が到来しつつあります

一部のエリート以外は、ツラい未来が待っている

工場

 どのような仕事が国内に残るのかというと、生産性が高いとされる、デジタル、グリーン、イノベーションといった「高付加価値」が期待できるとされる分野だそうだ。また、貿易の影響を受けないサービス業界についても、ひとつ懸念があるようだ。

「サービス業界のとりわけ、高齢化社会に対応するため介護、医療などで、人材を非正規かつ低賃金で働かせようと画策しています。その一方で、『高付加価値労働人材は安泰か』と言えばそうではありません。2019年に施行された“高度プロフェッショナル制度”を利用して、生産性の高い分野で残業代を出さずに長時間労働を強い、国際競争力を維持するつもりです。

 また、菅(義偉)首相のブレーンであるデービット・アトキンソンさんは、海外の富裕層を対象にしたビジネスプランを表明しており、高級ホテル開発やカジノ誘致、さらには、農作物でさえも高級路線に舵を切らせるつもりです。全国チェーンを展開する企業やグローバル企業を支配する一部のエリート層を除いて、日本の労働者はとても凄惨な生活を送ることになるかもしれません」

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