楽天、赤字654億円の中間決算。収入は盤石でもモバイルへの投資がハンパない
1)インターネットサービス事業:巣ごもり需要で好調
全体収益の半分以上を占めるこの事業は「楽天市場」を中心とした事業です。国内でよくAmazonと比較されますが、Amazonが商品のほとんどを自社で確保するのに対し、楽天市場は各事業主が出店し、販売する形式となっています。標準的なプランの場合、事業主は月額5万円に加え、売上高の2.0~4.5%を支払えば出店できます。
一方で利用者にとっての特徴といえば貯まりやすいポイントがあげられるでしょう。購入額の1%に相当するポイントが加算され、1ポイント=1円として次回の購入に使うことができます。そして楽天カードを持っていれば毎月「5」と「0」がつく日はポイントが5倍となるなど各種キャンペーンなども実施しています。
楽天市場の他には日用品に焦点を置いた「楽天24」を運営しています。また、コロナ禍では不調でしたが「楽天トラベル」も同事業に含まれます。ANA・JALと提携しているためトップページから目的地と交通手段を選択すれば航空便と宿泊施設を同時に予約が可能。もちろん楽天トラベルでもポイ活が可能です。コロナ禍での業績に関しては、巣ごもり需要によって楽天市場の利用額が増えているためインターネットサービス事業全体では好調のようです。
2)フィンテック事業:3つの中核事業が連携
ここ5年は新聞や雑誌でもフィンテック(FinTech)という言葉が聞かれるようになりました。フィンテックは金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、スマホ決済など一般的にはオンライン上の金融サービスを表す言葉として使われています。ちなみに9月14日に決済障害が発生した「楽天ペイ」もこの事業に含まれます。
楽天のフィンテック事業は主に楽天カード・楽天銀行・楽天証券を中核としており、特に楽天カードはポイ活を目的とした利用者が多いため、楽天市場に支えられた事業といえます。カードの種類は3つあり、ポイント貯めるためのポイントカードのほかEdy機能付きのカード、クレジット機能付きのカードがあります。
ポイントカードは実店舗でも使うことができ、ファミリーマートやマクドナルドなど大手チェーン各社が対応しています。ECと実店舗を活用できるためお得感の強いカードといえるでしょう。
そして、楽天銀行は実店舗をもたない完全オンラインの銀行です。ATM手数料が最大で月7回まで無料となるほか、3回まで他行振込が無料になるといったサービスがあります。筆者も利用する楽天証券は外国株の取り扱いが充実しており、手数料は国内・米国株より高めですがシンガポール、タイ、マレーシア、インドネシアの4市場に投資できます。ちなみに楽天銀行から楽天証券への入金は手数料が無料となるようです。