はあちゅう事実婚から考える「結婚」の心理的メリット・デメリット
結婚については繰り返し取り上げてきた「改姓」がポイントになると、おおしまさんは解説します。
厚生労働省が発表した「平成28年度 婚姻に関する統計」 によれば、平成27年度において「妻の氏」を選択した夫婦はわずか4%となっていますが、現状をふまえると「潜在的な別姓希望者がどれほどいるのかは、疑問も残る」と言います。
「日本における夫婦別姓はいまだ議論が続いていますが、その背景には、昭和61年に施行された『男女雇用機会均等法』が関係していると私は思います。この法律ができた当時に生まれたのは現在の32~33歳の世代で、はあちゅうさんもちょうどそこの世代に当てはまります。
今では、社会人になってから男女関係なく同じように仕事をこなし、キャリアを重ねていくというのは一般的となりましたが、結婚を考えるとさまざまな男女差がまだ残った状態です。今の32~33歳の世代あたりから違和感を覚えはじめると考えると、ここ数年で事実婚や契約結婚がいっそう注目をあつめる現状は、時代として当然の流れだと思います」
また、事実婚や入籍を伴わない契約結婚については社会保障なども課題として浮かびありますが、LGBTなどをきっかけとして制定されたフランスの「民事連帯契約」のように、従来の法律婚を選ばずとも社会的にさまざまな権利を享受できる制度づくりにも、おおしまさんは期待を込めます。
「LGBTへの関心をきっかけに自治体により『パートナーシップ条例』が制定されるなどの動きがみられますが、参考としてよく引き合いに出されるフランスの事例を踏まえると、フランスでの民事連帯契約(通称パックス)の対象は、同姓同士だけではなく、異性間の共同生活についても当てはまります。
日本では戸籍の問題があるとはいえ、社会情勢を考慮すると、今後事実婚や選択的夫婦別姓の問題は、前向きに検討されていくことは必須ではないかと思っています」
かつての親世代と比べて、結婚への価値観も多様化してきた印象もあります。個人の考えを尊重した社会づくりが、改めて求められるようになってきたのかもしれません。
<取材・文/カネコシュウヘイ>
【おおしまりえ】
恋愛ジャーナリスト・イラストレーター。10代より大手ゲーム制作会社や水商売、プロ雀士など多くの業種業界を渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。結婚と離婚を経験後に恋愛ジャーナリストとして活動を開始。データ分析や潜入ルポ、エッセイ執筆などを行う。ブログ「恋愛ジャーナリスト おおしまりえのブログ」、Twitter:@utena0518