カップかき氷「サクレ」36年間人気の秘訣と、苦戦したフレーバー
秋冬アイスの流行でバリエーションも豊富に
定番の丸い容器も「サクレ」の特徴だが、そこにもメーカーならではの工夫があった。
「カップかき氷はギザギザの容器が主流でしたが、弊社のサクレは氷がほどよく溶けてすぐ食べられるものを目指したので、いろいろな素材を試しました。最終的に決まったのが、味噌汁にも使われていた発泡系の容器です(発泡系容器は2007年まで使用)。
販売開始当時、カップの味噌汁はまだ珍しかったのですが、保温性能も抜群だったため、温めるのではなく冷やすのにも活かせるのではないかと思い採用しました」(齊藤さん)
公式サイトのページ「サクレヒストリー」には、歴代の「サクレレモン」のパッケージも掲載されている。1985年から2018年にかけて12回もパッケージ変更をされていた事実も驚きだが、マイナーチェンジの基準はあるのか。
「販売開始当初のパッケージは当時の女子高生の方々がターゲットでしたが、だんだんとターゲット層も変わってきましたし、時代の流れに合わせてマイナーチェンジをしてきました。ロゴも当初は、名前の由来のひとつであるフランス語『神聖な』を意味する『SACRÉ』と表記していましたが、1997年からしばらくはカタカナ表記にして、2008年から、海外の方にも味わってもらいたい思いから再びフランス語表記に戻しました」(齊藤さん)
なかには苦戦したフレーバーも…
レモン以外にもさまざまなフレーバーを展開。それぞれの売れ行きをみると、なかには、売り上げが振るわない商品もあったという。
「やはりレモンは売れ筋で、1995年に販売開始してからレギュラーのオレンジや、2015年から販売の白桃も人気ですね。過去のサブフレーバーは苦戦したものも多く、1997年に健康ブームにあやかって販売したビタミンC入りのレモン、初の野菜フレーバーだった2018年販売のトマトは、正直なところ、期待していたほどの売れ行きにはならなかったです」(齊藤さん)
商品の歴史をたどると、2015年頃からアイスとしては王道のフレーバーであるチョコレートなど、バリエーションが一気に広がった印象もある。
「サクレのようなかき氷系のアイスは、基本的に夏場しか売れないんです。6~8月頃をピークに、9月頃になるとスーパーやコンビニのアイス売り場には置いてもらえなくなります。それがずっと課題だったのですが、2015年ごろにちょうど秋や冬に食べるアイスが注目され始めたので、弊社もそこの市場へ参入しようというねらいがありました。また、当時はブランドがちょうど30周年を迎えるタイミングだったのも理由です」(齊藤さん)