飲食店100軒以上のコロナ対策を点検したスタッフが証言「感染対策の決め手は」
店舗ごとに合否が分かれる点検項目も
なかには飛沫による感染を抑えるために、焼き肉店で使用するような大型換気扇を設置する店舗も。また換気が不十分で密になりやすい地下から、一軒家に引っ越すなど対策を徹底したお店もあったという。
「協力金をもらうことだけではなく、コロナが長引くことを想定したり、将来のビジョンを見据えて店舗の改装などを行うなど、対策を講じている個人店主もいました」
手指の消毒やマスク着用、換気の3項目に関しては、全ての店舗が合格しました。一方、合否が大きく分かれたのは、飛沫感染防止の「間隔」だったそうです。
「対面による飛沫感染を防止するためテーブル席にアクリル板を設置するのは、もはや当たり前。そんななかで目立ったのはアクリル板がない、焼鳥屋チェーン店です。アクリル板を設置するというイメージを掴めない店長もいたので、点検済の他店の写真を見せて対策を呼びかけました。チェーン店の本部から指導があると思っていましたが、対策は各店長に委ねられているという印象でしたね」
「ずっともやもやしています」
稲葉さんが一番困ったのは、テーブル席にアクリル板がない洋風居酒屋の店主が「対面でも1メートルの間隔があるからアクリル板がなくてもいい」と主張したことでした。
「1メートルを境に到達する飛沫量が急激に減るというエビデンスがありますが、店は小学校の体育館の半分ぐらいの広いスペースに、10人掛けのソファー席と4人掛けの15、16個のテーブル席があるため、あちらこちらで飛沫が飛ぶ可能性もありました」。
稲葉さんはアクリル板を設置すべきと判断して東京都に問い合わせましたが、「1メートル離れているなら良い」というマニュアル通りの回答だったそうです。
「1メートル離れていてもアクリル板をセットするなど感染対策をしっかりと行っている店に比べて対策不足と感じましたが、東京都の指示通り合格点をつけました。でもずっともやもやしています」