アシックスの売上はシューズが8割。大手スポーツメーカーの“意外な強み”
アシックスの売上高8割がシューズ
その要因のひとつが、商品ラインナップの違いです。アシックスは売上高のおよそ80%をシューズが占めています。一方、ミズノのシューズは全体の27%ほど。
ミズノはユニフォームや野球用品などの商品を提供し、幅広いスポーツカテゴリでシェアを獲得しているため、国内の売上高がアシックスを上回っているのです。スポーツブランドと聞いてミズノを想起する人が多いのも、こうした理由があります。
アシックスはヨーロッパ、アメリカ、中国、オセアニアなど幅広い国で事業展開し、シューズのシェアを獲得しました。では、米ナイキや独アディダスが君臨する海外で、どうやって消費者の支持を得たのでしょうか。
機能性を追求た企業努力が実を結ぶ
アシックスの海外事業成功の秘密は、商品力と販売戦略に隠されています。
アシックスは徹底して機能性を追求してきました。すべてを自社で生産しているため、品質がコントールできたことが背景にあります。それが戦略のひとつとして盛り込まれていました。その高い機能性が評価され、シリアスランナーと呼ばれる競技者のシェアが30~60%(ASICS通信)を獲得するまでになりました。
ナイキはマイケル・ジョーダンなどの有名人を広告塔として起用し、ブランドの心理的な価値を劇的に高めることに成功しました。一方で、アシックスは地道にシューズの機能を磨きこむことで、ブランドを育てる上で最も重要なファンとの信頼関係を構築したのです。アシックスはランニングシューズにおいて、ヨーロッパでシェア2位、アメリカでもシェア2位の座を獲得(ASICS通信)するに至りました。
販売戦略も巧みです。国内外で180個のランニングイベントのスポンサーとなり、ニューヨークシティマラソンなどの大都市型市民マラソンをサポートしています。そうした大型マラソンが開かれる都市に大型のショップを出店し、集客へと結びつけているのです。
機能面で競技者からの信頼を獲得し、プロも参加する市民マラソン大会のスポンサーとなってブランド認知を向上させ、開催都市に大型店を出店して人を集める。ナイキのような華やかさはありませんが、着実にファンとの信頼構築を進めた結果が海外での好業績に繋がっているのです。